岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター B! 憎み合う姉弟が遭遇する関係再生の物語 2023年11月16日 私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター ©2022 Why Not Productions - Arte France Cinema 【出演】マリオン・コティヤール、メルヴィル・プポー、ゴルシフテ・ファラハニ、パトリック・ティムシット 【監督】アルノー・デプレシャン 他人事とは言い切れない切実なヒントがいっぱい フランス人は議論がお好き? フランス映画でよく目にする場面。恋人関係にある男女間、あるいは夫婦で交わされる議論。と言えば聞こえは良いが、時には感情のぶつかり合い、それは発展すれば、側から見れば、単なる口喧嘩になる。 これは何もフランスに限定されることではないかも知らない。感情が前面に出ることで、議論という枠組みからはズレてしまう。 議論は感情的になってはいけない、あるいはそうなったら成り立たないものなのだろうか? 夫婦、あるいは親子、そして兄弟といった血の繋がりがある間柄であっても、そこには拒絶という嫌悪を伴う感情が発生することがある。議論からは遠く離れる、言葉にはできないもの…"わだかまり" とでも言い換えようか…これは決して稀なことではない。 舞台俳優として活躍しているアリス(マリオン・コティヤール)は、演出家の夫とひとり息子と、満たされた日常を幸せに過ごしている。 アリスの実弟ルイ(メルビル・プポー)は、詩人として成功したが、最愛の息子を亡くした悲しみの手負いのまま、今は妻とふたり、人里離れた山中で静かに暮らしている。 この姉と弟には "わだかまり" があった。 何があったのか、どんな理由からなのかは、はっきり思い出せないが、2人は顔を合わせることもなくなり、憎しみ合うような関係に堕ちていた。 ある日、姉弟の両親が多重交通事故に巻き込まれてしまう。その知らせを受けた2人は予期せぬ再会を果たすことになる。 姉弟の感情のぶつかり合いや、置かれた状況は悲惨なものだが、映画はコミカルな優しい語り口で、絡れた関係の糸口を探り出そうとする。 家族だから…憎み合う? 家族なのに…憎み合わなければならないのか? 家族だから、許せない! この感情のもつれ合い。 哀しくて可笑しい人間関係、思わず首肯する瞬間に出会える好編である。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (6)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年07月23日 / 青春18×2 君へと続く道 切なさ溢れる抒情的恋愛映画の秀作 2024年07月22日 / 青春18×2 君へと続く道 ピュアな恋を描いた大人のラブストーリー 2024年07月22日 / 青春18×2 君へと続く道 初恋の思いを辿る台湾=日本合作恋愛映画 more 2022年11月23日 / シネマ・ロサ(東京都) 池袋の歓楽街にある映画館で街ごと映画を楽しむ。 2018年03月07日 / 桜坂劇場(沖縄県) 様々な文化の発信基地として生まれ変わった映画館 2022年01月26日 / シネマ・クレール(岡山県) 目の前を路面電車が通過する城下町の映画館 more
他人事とは言い切れない切実なヒントがいっぱい
フランス人は議論がお好き?
フランス映画でよく目にする場面。恋人関係にある男女間、あるいは夫婦で交わされる議論。と言えば聞こえは良いが、時には感情のぶつかり合い、それは発展すれば、側から見れば、単なる口喧嘩になる。
これは何もフランスに限定されることではないかも知らない。感情が前面に出ることで、議論という枠組みからはズレてしまう。
議論は感情的になってはいけない、あるいはそうなったら成り立たないものなのだろうか?
夫婦、あるいは親子、そして兄弟といった血の繋がりがある間柄であっても、そこには拒絶という嫌悪を伴う感情が発生することがある。議論からは遠く離れる、言葉にはできないもの…"わだかまり" とでも言い換えようか…これは決して稀なことではない。
舞台俳優として活躍しているアリス(マリオン・コティヤール)は、演出家の夫とひとり息子と、満たされた日常を幸せに過ごしている。
アリスの実弟ルイ(メルビル・プポー)は、詩人として成功したが、最愛の息子を亡くした悲しみの手負いのまま、今は妻とふたり、人里離れた山中で静かに暮らしている。
この姉と弟には "わだかまり" があった。
何があったのか、どんな理由からなのかは、はっきり思い出せないが、2人は顔を合わせることもなくなり、憎しみ合うような関係に堕ちていた。
ある日、姉弟の両親が多重交通事故に巻き込まれてしまう。その知らせを受けた2人は予期せぬ再会を果たすことになる。
姉弟の感情のぶつかり合いや、置かれた状況は悲惨なものだが、映画はコミカルな優しい語り口で、絡れた関係の糸口を探り出そうとする。
家族だから…憎み合う? 家族なのに…憎み合わなければならないのか? 家族だから、許せない! この感情のもつれ合い。
哀しくて可笑しい人間関係、思わず首肯する瞬間に出会える好編である。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。