岐阜新聞 映画部

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ナチス戦犯の火葬にまつわる始末騒動記

2023年11月14日

6月0日 アイヒマンが処刑された日

© THE OVEN FILM PRODUCTION LIMITED PARTERNSHIP

【出演】ノアム・オヴァディア、 ツァヒ・グラッド 、ヨアブ・レビ、トム・ハジ 、アミ・スモラチク 、ジョイ・リーガー
【監督】ジェイク・パルトロウ

現在進行形の対立の構図のかけらが見える

"アドルフ" と言えば…

ナチスドイツの国家元首にして総統だったアドルフ・ヒトラーがすぐに思い浮かぶ。

その同じファーストネーム "アドルフ" を持つのが、本作のタイトルロールであるアイヒマンである。

正確には、オットー・アドルフ・アイヒマンは、1906年にドイツ西部に位置するゾーリンゲンに生まれた。ナチスの親衛隊国家保安本部に所属した軍人で、最終的な階級は中佐だった。

ユダヤ人の大量虐殺に関わったナチスの軍人では、アウシュヴィッツ強制収容所の所長であったルドルフ・フェルナンド・ヘスが、先ず思い浮かぶ。ヘスは終戦後の46年にイギリス軍によって発見逮捕され、ポーランドへ移送された。その後裁判にかけられ、同国の最高人民裁判所から死刑判決を受け、翌年47年にアウシュヴィッツの地で絞首刑になっている。

アドルフ・アイヒマンは、今年のはじめに公開された『ヒトラーのための虐殺会議』(マッティ・ゲショネック監督)の15人の高官のひとりとして登場し、終始不気味な存在感を示す。

この会議の議長はハイドリッヒだったが、ヘスは参加していなかった。

アイヒマンは、その後、絶滅収容所へのユダヤ人移送の最高責任者となり、ナチスにとっては有能に職務を遂行する中心人物となった。

大戦終結後、アメリカ軍によって拘束されたが、身分を隠し捕虜収容所からの脱出に成功している。その後は死亡説が流れる中、謎と不気味な協力者の助力を得て、1950年の夏頃、南米アルゼンチンに辿り着いたとされる。

『6月0日 アイヒマンが処刑された日』は、1960年、イスラエル諜報特務庁=モサドによって逮捕連行されたアイヒマンが、61年、人道に対する罪や戦争犯罪の責任により、死刑判決をを受け、翌62年に絞首刑に処される、その舞台裏を描いた映画である。

政治や宗教が絡むと話は混乱するが、歴史的事実をあくまでも市井の人々の目線で、歴史的事実として描く工夫が見える。とは言え、今、進行形で起きている戦争と同じように、深い根っこは日本人には分かりづらい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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