岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

「女性に関する、女性による」7つのショートストーリー

2023年10月10日

私たちの声

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【出演】ジェニファー・ハドソン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、カーラ・デルヴィーニュ、エヴァ・ロンゴリア、杏、マルゲリータ・ブイ、ジャクリーン・フェルナンデス
【監督】タラジ・P・ヘンソン、キャサリン・ハードウィック、ルシア・プエンソ、呉 美保、マリア・ソーレ・トニャッツィ、リーナ・ヤーダヴ 、ルチア・ブルゲローニ&シルヴィア・カロッビオ

ⒸWOWOW

8年ぶりの呉美保監督に気負いはない

映画プロデューサーの数十年に及ぶ性的暴行事件を告発した女性記者に焦点を当てた『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』や、新人女性アシスタントの1日を通して映画業界の闇を暴く『アシスタント』など、女性に対する映画業界の閉鎖性を告発する映画が相次いで公開された。

リベラルな映画も多いハリウッド映画界の女性差別は、映画の発展を阻害するとしか思えない。

『私たちの声』は、「女性に関する、女性による、みんなのために作られた」メディア・コンテンツや映画の製作を目的としたNPO:We Do It Togetherが企画した、女性監督と女優による7つのショートストーリーだ。本来、映画の良し悪しにジェンダーは関係ないが、女性差別がある限り「女性」を強調した映画があっていい。

7つのストーリーの中では、薬物使用で刑務所に入った女性(ジェニファー・ハドソン)のリハビリと壮絶な過去を描く『ペプシとキム』(タラジ・P・ヘンソン監督)や、コロナ禍で往診をする女性医師(マーシャ・ゲイ・ハーデン)とホームレス(カーラ・デルヴィーユ)とのふれあいを描いた『無限の思いやり』(キャサリン・ハードウィック監督)も好きだが、一番好きなのが、2人の子どもを育てるシングルマザー(杏)の日常を描いた呉美保監督の『私の一週間』だ。

呉さんは、キネ旬ベストワンを獲得した『そこのみにて光り輝く』(2014)の監督だが、翌年公開の『きみはいい子』(キネ旬10位)を最後に、子育て等により8年間のブランクがあった。

久しぶりに監督した短編は、声高に主張することもなく、ルーティンの日常を繰り返し淡々と描いた静かな映画であった。

そこには暴力もセックスも闘いもサスペンスもなく、あるがままの私がいる。まさに市井の女性の日常、日本のお母さんなのだ。

「女性に関する、女性による」という括りは、早く終わりにしたいものだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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