岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

指揮者親子のハートフルコメディ

2023年09月25日

ふたりのマエストロ

© 2022 VENDÔME FILMS – ORANGE STUDIO – APOLLO FILMS

【出演】イヴァン・アタル、ピエール・アルディティ、ミュウ=ミュウ、キャロリーヌ・アングラーデ、パスカル・アルビロ、ニルス・オトナン=ジラール
【監督】ブリュノ・シッシュ

葛藤や悩みもほどほどに巧みなタクトさばき

フランス・パリのクラッシック音楽界で、ともに活躍する親子の物語。

ある日、フランソワ・デュマール(ピエール・アルディティ)に電話連絡が入る。それは、世界最高峰のイタリア、ミラノ・スカラ座の音楽監督就任を依頼するものだった。地道なキャリアを積み上げた結果が見事に実を結んだと、歓喜に浸るフランソワを横目に、同じ指揮者として同じ土俵にいる息子のドニ(イバン・アタル)は、父の躍進を素直には喜べない複雑な心境に陥ってしまう。

その翌日、今度はドニにスカラ座の総裁から呼び出しの連絡が入る。そこで聞かされるのは、音楽監督への就任はドニへの依頼だったという事実。ドニに課されるのは父に真実を告げなければならないという重責だった。

『ふたりのマエストロ』は、ちょっとした行き違いから生じる、親子の葛藤を描いている。

元はイスラエル映画『フットノート』で、2011年のカンヌ映画祭で脚本賞を受賞。米・アカデミー賞の外国語映画賞でもイスラエル代表に選出されノミネートされた。

この作品では、ヘブライ大学で教鞭を取る親子という設定で、音楽界とは全く異なるものになっている(『フットノート』は日本では劇場未公開2014年に三大映画祭週間で上映された)。

コメディには人違い、間違い、ボタンの掛け違いによる設定はよくあるが、本作もその王道に親子という厄介事が重なる。とは言え、深刻な展開にはならず、至って軽快さを保つのがフレンチ・コメディの真骨頂かも知れない。

息子は父親に真実を告げなければならないが、それよりも、恋人のバイオリニストをミラノへ連れて行くかどうかで心が揺らぐ。 劇中に流れるクラッシックの名曲、ベートーベンの「第九」、モーツァルトの「フィガロの結婚」などは少しベタな選曲だったりするが、馴染みの深いものだから、すんなりと耳に入る。

ちょっと、上手くまとめ過ぎた感はあるが、映画時間としては心地よいと言えるだろう。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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