岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

北の街にあるミニシアターで映画談議に花を咲かせる

2018年01月24日

シネマディクト(青森県)

【住所】青森県青森市古川1-21-18
【TEL】017-722-2068
【座席】ルージュ館:150席 ノアール館:55席

 かつて、北海道と本州を結ぶ北の玄関口として、多くの青函連絡船利用者で賑わっていた青森駅。就航していた頃の駅前は乗降客でごった返しており、冬場は石炭と灯油ストーブの匂いが立ちこめる場末感漂う猥雑な雰囲気があった。

 長い乗り継ぎの時間を潰す乗降客のため、駅を中心に盛り場が発展して、ある者は駅前の飲み屋で一杯引っ掛けて、またある者は映画を観て過ごした。だからだろうか、昭和40年頃までは、この東北の港町に22館もの映画館がひしめき合っていた。駅から昭和の薫りが今も残る夜店通り商店街を抜けたところにあるミニシアター「シネマディクト」も、昭和29年に東映の二番館として創業した「奈良屋劇場」が前身だ。

 夜行バスで青森駅に着いたのは朝6時過ぎ。オフシーズンだからだろうか?夜行バスは3人しかいなかった。まだ11月中旬だというのに吐く息が白い。2日前に雪が降ったというのだから無理もない。かつて連絡船の桟橋だった場所も、今では公園として整備され、イベントやデートスポットになっている。取材までまだ3時間…さすがに外にいるのも限界なので、偶然見つけた映画館の近くにある「青森まちなかおんせん」という立ち寄り温泉で過ごすことに決めた。朝早くから営業しており、450円で天然温泉に浸かれるということで、こんな時間からたくさんのお年寄りで賑やかだった。少し早めに温泉を出て映画館周辺を散策する。朝食を出している定食屋を探していたら「青森市場のっけ丼」という看板を見つけて入ってみる。どんぶりに10種類の魚介類を乗っけて1300円は安い。朝から混んでいるのもよく分かる。
 平成9年に、映画館は地上4階建てのビルに改築され、3階に2スクリーンを有する「シネマディクト」に生まれ変わった。ビルの正面にある映写機は、倉庫で眠っていた年代物をランドマークにした。場内はビルの中とは思えないほど天井が高く、ワンスロープの座席でも観やすくなっている。当初はUIP配給のロードショー館としてスタート。オープニングは、『ダンテズ・ピーク』と『101』の二本立で、順調な幕開けを果たした。UIPが解散してミニシアターとなってからは、女性や年輩層がメインの客層となり、重厚で落ち着いた雰囲気の人間ドラマに人気が集まった。『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』の初日には、列が階段から外まで伸びて市役所から問い合わせが来たそうだ。
 エレベーターで3階に上がると、そこはもう映画館のロビーなのだが…時間に余裕があれば、是非、非常階段を覗いて欲しい。1階から3階まで壁一面に、映画のポスターがビッシリと貼ってあるのだ。こんな感じで映画が大好きな館主さんは、遊び心満載で、ただ映画を上映するだけではなく、観客と映画を熱く語り合う映画教室も開催している。

出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2016年11月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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