岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

教えと学びの喜びが見えるドキュメンタリー

2023年09月14日

世界のはしっこ、ちいさな教室

© Winds – France 2 Cinéma – Daisy G. Nichols Productions LLC – Chapka – Vendôme Production

【出演】サンドリーヌ・ゾンゴ、スヴェトラーナ・ヴァシレヴァ、タスリマ・アクテル
【監督】エミリー・テロン

おなご先生の奮闘記

2014年に公開された『世界の果ての通学路』(パスカル・プリッソン監督)は、ケニア、パタゴニア、モロッコ、インドの異なる地域で、何10キロにも及ぶ危険な道のりを、学校で学びたいという強い意志により、いくつかの困難を乗り越え、"通学" する子どもたちの姿を追ったドキュメンタリーだった。

『世界のはしっこ、ちいさな教室』は、『世界の果ての通学路』の製作スタッフが、教育=学びという共通する題材、"果て" と"はしっこ" という、共通する地域性を交えて、学びたい生徒の視点から、学ばせたいという教師の視点に置き換えて、教育の現場を見つめたドキュメンタリーである。 西アフリカにあるブリキナファソ。新人教師のサンドリーヌは2人の子どもの母親でもある。国を挙げての教育課題は、低迷する "識語率" の向上にある。

バングラデシュの北部にある "ボートスクール" で教えるタスリマには、説得を必要とする固定概念に支配された親たちがいた。

ロシア極東シベリア。そこには遊牧民として暮らす少数民族エヴェンキ族の子どもたちがいる。スヴェトラーナは彼らのもとに ”通い教師" として出向いて行く。

学歴が将来を決める。教育にはお金がかかる。という以前の、学ぶ、教えるという人間本来が希求する心の問題に映画は深く関わる。

最初は学ぶ事に無関心だった子どもたちが、知る喜び、学ぶ楽しさを見つけ、目を輝かせる瞬間が訪れる。

バングラデシュのパートで「女には教育はいらない」「早く嫁に出したい」という、生活に関わる少し厄介な問題に関わる場面が現れる。それは説得という、子どもの教育からは離れたものになるのだが、これが実は親(=保護者)の教育になっているという皮肉。

少し残念なのは、このやり取りの中に、一部再現されたのではないかという作為が見える事だが、敢えて再現した意図はわからないでもない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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