岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

イスラム社会で闘う女性たちの再生の物語

2023年09月05日

裸足になって

©THE INK CONNECTION - HIGH SEA - CIRTA FILMS - SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINÉMA – LES PRODUCTIONS DU CH'TIHI - SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT

【出演】リナ・クードリ、ラシダ・ブラクニ、ナディア・カシ
【監督】ムニア・メドゥール

明るい未来に希望を託した素晴らしいダンス

本作の監督、ムニア・メドゥールは1978年生まれ。ドキュメンタリーでキャリアをスタートさせ、前作『パピチャ 未来へのランウェイ』(2019年/日本公開2020年)で長編劇映画のデビューを飾った。

監督の祖国でもあり、映画の舞台となるアルジェリアは、アフリカの北部に位置し、北側は地中海に面し、対岸にはヨーロッパの大国スペイン、そしてかつての宗主国フランスと向かいあっている。

1962年の独立以来、内政は安定することなく、クーデターや内戦、動乱状態を繰り返した。漸く、国家非常事態宣言が解除されたのは、その発令から20年近くを経過した2011年のことだった。国民の80%はアラブ人で、99%がイスラム教徒である。

近年公開されたイスラム教圏の映画では、宗教上の理由から、社会から抑圧を受ける女性を主人公にした作品が目立つようになっている。

『パピチャ』は90年代を舞台に、ファッションデザイナーになることを夢見る、女子大生を主人公にしていたが、本作ではダンサーを目指す女性を描き、同じテーマを孕んだ、新しいイスラム圏の女性像をリナ・クードリが再び演じている。

バレーダンサーになりたいフーリアは、ある日、男から故意に階段から突き落とされ大怪我を負う。踊ることも出来ず、心因性の失語症で声を出すことも出来なくなったフーリアに、追い打ちをかけるように、国外脱出を図った親友の死を知ることになる。

生きることの意味さえ失いかけた…

そんな時、通い始めたリハビリ施設で、身体に不自由を抱え、心に傷を負った女性たちに出会う。

フーリアは生きる希望を捨てない彼女たち励まされるように、自分が出来ること、ダンスを教えることで新たな道を見つける。

女性たちの声、監督=作り手の意志が力強く伝わる女性映画である。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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