岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品シモーヌ フランスに最も愛された政治家 B! 女性初を実践した壮絶な政治家の生涯 2023年08月28日 シモーヌ フランスに最も愛された政治家 © 2020 – MARVELOUS PRODUCTIONS – FRANCE 2 CINÉMA – FRANCE 3 CINÉMA 【出演】エルザ・ジルベルスタイン、レベッカ・マルデール、オリヴィエ・グルメ、エロディ・ブシェーズ 【監督・脚本】オリヴィエ・ダアン 男社会の傲慢は遠い過去のことではなかった シモーヌ・ヴェイユは、1927年フランス・ニースに生まれた。家はユダヤ系で、父は建築家、母は化学の研究に携わったこともあった。 父アンドレはユダヤ社会への帰属を重視したが、シナゴークへ通う宗教的実践とは縁遠く、あくまでも、ユダヤ文化を重視した人だった。 ナチスの台頭から逃れるため、パリからニースへの移住を決めたが、映画にも描かれているとおり、一家はナチスによって連行され、収容所に送られる壮絶な体験をすることになった。 シモーヌはパリ大学で法学を専攻し、さらにパリ政治学院に進んだ。 在学中にアントワーヌ・ヴェイユと知り合い、1946年に結婚している。政治に関わるようになったアントワーヌに寄り添い、49年と54年に2人の子どもをもうけ、家事、育児に奔走する一方で、司法試験に合格した。 シモーヌは弁護士になりたいと夫に相談するが猛反対に合い、激しく口論することもあったが、治安判事になることで夫婦間では妥協した。 治安判事は、1946年まで男性にしか就くことができない職だったが、シモーヌは55年28歳の時、検察局に入局した。 57年、司法省行政局時代の刑務所における女性問題、当時の領地であったアルジェリアにおける刑務所の改革に着手している。 『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』は、シモーヌ・ヴェイユの生涯を追った伝記映画だが、時系列は様々な時代が象徴的に挿入される回想形式がとられているため、彼女が法律家として、政府職員として、そして政治家として携わった仕事は前後してしまう。 加えて、戦中の収容所を姉妹で生き抜いた様子も描かれているので、1本分の映画をはみ出す重重量感がある。これはのちに、シモーヌが回想「私の人生は常に死の影を引きずっている」によるところが大きい。 人口妊娠中絶の合法化、エイズ患者への取り組み…etc.。個人的には無知を素直に恥じて、ある女性政治家の生き様に心から心酔した。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 88% 観たい! (7)検討する (1) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年09月26日 / 君は行く先を知らない 暢気なユーモアが緊張に変わるロードムービー 2023年09月26日 / 君は行く先を知らない シリアスな内容を、ユーモアと詩情で包んだ瑞々しい映画 2023年09月25日 / ふたりのマエストロ 指揮者親子のハートフルコメディ more 2019年05月22日 / ガーデンズシネマ(鹿児島県) 映画の後にランチをしながら、おしゃべりを楽しむ 2023年05月31日 / 【思い出の映画館】七ぶらシネマ通り(静岡県) 静岡市内にあった明治時代から続く映画館通り。 2018年03月07日 / 桜坂劇場(沖縄県) 様々な文化の発信基地として生まれ変わった映画館 more
男社会の傲慢は遠い過去のことではなかった
シモーヌ・ヴェイユは、1927年フランス・ニースに生まれた。家はユダヤ系で、父は建築家、母は化学の研究に携わったこともあった。
父アンドレはユダヤ社会への帰属を重視したが、シナゴークへ通う宗教的実践とは縁遠く、あくまでも、ユダヤ文化を重視した人だった。
ナチスの台頭から逃れるため、パリからニースへの移住を決めたが、映画にも描かれているとおり、一家はナチスによって連行され、収容所に送られる壮絶な体験をすることになった。
シモーヌはパリ大学で法学を専攻し、さらにパリ政治学院に進んだ。
在学中にアントワーヌ・ヴェイユと知り合い、1946年に結婚している。政治に関わるようになったアントワーヌに寄り添い、49年と54年に2人の子どもをもうけ、家事、育児に奔走する一方で、司法試験に合格した。
シモーヌは弁護士になりたいと夫に相談するが猛反対に合い、激しく口論することもあったが、治安判事になることで夫婦間では妥協した。
治安判事は、1946年まで男性にしか就くことができない職だったが、シモーヌは55年28歳の時、検察局に入局した。
57年、司法省行政局時代の刑務所における女性問題、当時の領地であったアルジェリアにおける刑務所の改革に着手している。
『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』は、シモーヌ・ヴェイユの生涯を追った伝記映画だが、時系列は様々な時代が象徴的に挿入される回想形式がとられているため、彼女が法律家として、政府職員として、そして政治家として携わった仕事は前後してしまう。
加えて、戦中の収容所を姉妹で生き抜いた様子も描かれているので、1本分の映画をはみ出す重重量感がある。これはのちに、シモーヌが回想「私の人生は常に死の影を引きずっている」によるところが大きい。
人口妊娠中絶の合法化、エイズ患者への取り組み…etc.。個人的には無知を素直に恥じて、ある女性政治家の生き様に心から心酔した。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。