岐阜新聞 映画部

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本職の歌手が本物の歌劇場で演ずる、スター誕生物語

2023年07月18日

テノール! 人生はハーモニー

© 2021 FIRSTEP – DARKA MOVIES – STUDIOCANAL – C8 FILMS

【出演】ミシェル・ラロック、MB14、ロベルト・アラーニャ
【監督】クロード・ジディ・Jr.

おフランスの和食事情が垣間見られる

本作の素晴らしさは、本職の歌手(MB14)が主演の青年アントワーヌを演じ、世界的なテノール歌手のロベルト・アラーニャが本人役で出演し、本物の歌劇場(オペラ座・ガルニエ宮)で撮影されているところだ。それがドキュメンタリーではなくフィクションの劇映画なわけで、本物に勝るものはない。

ストーリーは、オペラ教師のマリー(ミシェル・ラロック)が、突如現れたフリーターでラッパーの青年アントワーヌ(MB14)の才能を見出し、オペラ歌手に育てるまでの「スター誕生」物語だ。王道のお話で目新しさは無いがハッピーエンドで終わるので、「結末を知ってから見る」という最近のタイパ重視の人たちにも安心な映画である。なお映画館での上映なので倍速ではなく通常速度である。念のため。

主演を演ずるMBは、黒髪に髭をたくわえたイケメンの好青年だ。街の不良青年たちと組んでいる“ケチなラッパー”の歌声も素敵だが、寿司の出前を持って行った歌手のたまごの前で、バカにされた意趣返しに歌うオペラの物まねの凄いこと!教師のマリーが、その美声に一目惚れするのも無理はない。と観客にも思わせるほどの説得力だ。

彼の才能を見出す美人教師マリー役のミシェル・ラロックもいい。オシャレでプライドの高い、仕事に誇りを持ったフランス女性を華麗に演じている。アントワーヌという最高の逸材を育て上げる歓びを素直に出しており、見ていて気持ちがいい。

歌われる曲も《蝶々夫人》や《トゥーランドット》など。知ってる曲は聴いてて飽きない。

ガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」の舞台であるパリ、オペラ座・ガルニア宮の絢爛豪華な内装も素晴らしく堪能できる。有名なシャガールの天井画も確認できた。

しかしアントワーヌのバイトが寿司のデリバリーというのは驚いたが、“カニカマ”が普通に食されているのにはもっとビックリ!おフランスの和食事情が垣間見られるのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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