岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ウーマン・トーキング 私たちの選択 B! 対話で構成された厳しい女性映画 2023年07月06日 ウーマン・トーキング 私たちの選択 © 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved. 【出演】ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、フランシス・マクドーマンド 【監督】サラ・ポーリー 沈黙する神 見て見ないふりをする男たち 予備知識は、あった方が良いのか?ない方が良いのか? 時代は2010年、場所はアメリカの人里離れた何処かの村。キリスト教の一派 "メノナイト" に属する人々が暮らしている。 映画ではこのあたりの具体的な説明はない。少しづつ見えてくる生活の様式、衣服や生活道具などの情報では、時も場もわかりづらい。 ただ、そこから見えてくるのは、"アーミッシュ" として知っている、独自の文化形態を守るため、外部からの情報を遮断し、隔離された地域で自給自足で生活する人のことだが…。 その架空の村で、長い間秘匿されていた "事件" が発覚する。 これまで、村の女性たちは、ある特殊な飲み物を飲まされ、いわば "毒を盛られ" 遠のいた意識と自由の効かない体となり、男たちにレイプされたという事実があった。しかし、それは「悪魔の仕業」とか「作り話」という認識を半ば強制的に刷り込まれ、その事実に直面対峙することができないでいた。 これは犯罪ではないか…遅きに失したといえ、女性たちは立ち上がる。男たちが街へ出かけ不在となる2日間で、自分たちはどうすべきで、どう行動すべきかを話し合うことになる。 原作はミリアム・トウズによる同名小説で、2005~09年にボリビアで起きた実際の事件をもとに描かれたものである。 話し合いの場には、村を代表して3つの家族、年長の女性とその娘たちが集う。そしてただひとりの男性が、話し合いを克明に記録する任務を任せれる。 監督は劇映画、ドキュメンタリーを手がけ、俳優としても活躍する、カナダ出身のサラ・ポーリーで、10年ぶりの新作となる。 緊迫感あるれるディスカッションは、はじめ、オカルトまがいの絵空事のように感じられるが、次第に女性たちの身に起きた恐るべき事実がわかる。しかし、家族によって異なる立場にあるが故に、議論は膠着状態となる。 最終的には村を出るか、とどまるかの選択。これは不在の男たちに厳しく突きつけられた女性たちの決断でもある。 ラスト、選択の先の未来に見える光明が、危ういけれど救いにはなる。痛く厳しい映画である。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2018年05月30日 / 名古屋シネマテーク(愛知県) 作り手も観客も映画と真剣に向き合える映画館 2018年12月12日 / シネマテークたかさき(群馬県) 観たい映画をかける映画館を地元に…一人の男が立ち上がった。 2021年11月10日 / 【思い出の映画館】会津東宝(福島県) 歴史と文化の東北の町で子供たちに夢を贈り続けた。 more
沈黙する神 見て見ないふりをする男たち
予備知識は、あった方が良いのか?ない方が良いのか?
時代は2010年、場所はアメリカの人里離れた何処かの村。キリスト教の一派 "メノナイト" に属する人々が暮らしている。
映画ではこのあたりの具体的な説明はない。少しづつ見えてくる生活の様式、衣服や生活道具などの情報では、時も場もわかりづらい。
ただ、そこから見えてくるのは、"アーミッシュ" として知っている、独自の文化形態を守るため、外部からの情報を遮断し、隔離された地域で自給自足で生活する人のことだが…。
その架空の村で、長い間秘匿されていた "事件" が発覚する。
これまで、村の女性たちは、ある特殊な飲み物を飲まされ、いわば "毒を盛られ" 遠のいた意識と自由の効かない体となり、男たちにレイプされたという事実があった。しかし、それは「悪魔の仕業」とか「作り話」という認識を半ば強制的に刷り込まれ、その事実に直面対峙することができないでいた。
これは犯罪ではないか…遅きに失したといえ、女性たちは立ち上がる。男たちが街へ出かけ不在となる2日間で、自分たちはどうすべきで、どう行動すべきかを話し合うことになる。
原作はミリアム・トウズによる同名小説で、2005~09年にボリビアで起きた実際の事件をもとに描かれたものである。
話し合いの場には、村を代表して3つの家族、年長の女性とその娘たちが集う。そしてただひとりの男性が、話し合いを克明に記録する任務を任せれる。
監督は劇映画、ドキュメンタリーを手がけ、俳優としても活躍する、カナダ出身のサラ・ポーリーで、10年ぶりの新作となる。
緊迫感あるれるディスカッションは、はじめ、オカルトまがいの絵空事のように感じられるが、次第に女性たちの身に起きた恐るべき事実がわかる。しかし、家族によって異なる立場にあるが故に、議論は膠着状態となる。
最終的には村を出るか、とどまるかの選択。これは不在の男たちに厳しく突きつけられた女性たちの決断でもある。
ラスト、選択の先の未来に見える光明が、危ういけれど救いにはなる。痛く厳しい映画である。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。