岐阜新聞 映画部

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男たちをどうするのか?精緻で濃密な会話劇

2023年07月06日

ウーマン・トーキング 私たちの選択

© 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.

【出演】ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショー、フランシス・マクドーマンド
【監督】サラ・ポーリー

選択肢は3つ。「赦す」か「戦う」か「去る」か?

本作の邦題は『ウーマン・トーキング 私たちの選択』だが、原題は『Women Talking』なので直訳すれば『ウイメン・トーキング(もの言う女性たち)』だ。「選択」という結論でなく「発言する」という過程をタイトルにしている。さすが議論の国の映画である。

2010年、自給自足で生活する閉じられたコミュニティで起きた連続レイプ事件。犯人はそのキリスト教一派の中の男性たちであることがわかった。果たして被害者の女性たちは男たちをどうするのか?を描いたディスカッションドラマだ。その精緻で濃密な会話劇は、本作の監督・脚本のサラ・ポーリーにアカデミー賞脚色賞をもたらした。

彼女たちが考えた選択肢は3つ。1つ目は、男たちを「赦す」。2つ目は、男たちと「戦う」。3つ目は、男たちから「去る」。選ばれた3つの家族が代表して話し合いをしていく。

そもそも「ものごとを決定する・結論を出す」というのは、多種多様な価値観の人たちが話し合いを重ねながら「合意形成」をしていくことであり、そのプロセスに透明性があり公平が保たれていれば、全部に納得できなくても結論に従うことができる。この映画はその本質を実に見事に表しているのだ。

「赦す」を代表するスカーフェイス(フランシス・マクドーマンド)の顔に残された傷跡は、男から暴力を振るわれたことを物語る。ことを荒げずそっとしておきたい気持ちになるのは痛いほどよくわかる。

「戦う」を代表するサロメ(クレア・フォイ)は、男に対する憎しみから「殺してもいい」と思っている。

「去る」を代表するグレタ(シーラ・マッカーシー)は、「蛇行する馬車も遠くを見ていれば、まっすぐ走っているようにみえる」という。何もしないのでなく、暴力に訴えるべきでもなく、未来を見据えて次へと進んでいこう。

まさに現代の社会の構図と進むべき道を提示しているのだ。会話を堪能できる映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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