岐阜新聞 映画部

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連続殺人事件に迫る女性ジャーナリスト

2023年06月27日

聖地には蜘蛛が巣を張る

©Profile Pictures / One Two Films

【出演】メフディ・バジェスタニ、ザーラ・アミール・エブラヒミ
【監督】アリ・アッバシ

宗教とか倫理とか道徳に囚われては真は見えない

舞台となるイラン・マシュハドは、首都テヘランから東に850キロに位置する。人口は300万人ほどでイラン第2の都市。イスラム教シーア派における聖廟都市=巡礼地のひとつである。

そこで発生する連続殺人事件。標的となるのは娼婦で、"街を浄化する" という犯人による犯行声明が発せられ住民は震撼するが、一部の市民には、犯行の意志に共感し、犯人を英雄視する人々がいる。

世間に漂う不穏な空気感。それに危機感を抱いた女性ジャーナリストのラヒミは、事件の真相に迫ろうとする。

時代は2000年初頭で、16人の娼婦連続殺人事件は、実在した殺人鬼 "スパイダー・キラー" から着想を得て製作された。

監督は『ポーダー 二つの世界』で、北欧発の差別意識を根底に妖しい世界観のミステリーを発表したアリ・アッバシ。

イラン・テヘラン生まれのアッバシ監督は、映画をデンマークの国立映画学校で学んだ。イラン=アラブ系の映画とは雰囲気が異なるのは、その影響が大きいのだろうが、本作では外からでないと描けない、イスラムの宗教的な側面に食い込むアプローテがとられている。

ラヒミを演じるのは、イランの国民的女優として成功を収めていたザーラ・アミール・エブラヒミ。

驚いたのは、彼女が第三者による私的な性に関するテープを流出される被害に遭い、フランスへの亡命を余儀なくされたという事実。

これは映画のラヒミが直面する不条理極まりない世間の目と重なる。

ラヒミは事件を追う過程で、ある夜、家族と暮らす平凡な男サイード(メフディ・バジェスタニ)に遭遇し、彼の心の奥に潜む狂気を発見し戦慄する。

ストーリーは犯人探しのミステリーではない。ひとりの女性が追い込まれるサスペンスであり、倫理や道徳に隠された正義=真実に迫ろうとする映画である。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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