岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

プライド高きシェフと移民の少年たち その出会いから生まれる成長譚

2023年06月12日

ウィ、シェフ!

© Odyssee Pictures - Apollo Films Distribution - France 3 Cinéma - Pictanovo - Elemiah- Charlie Films 2022

【出演】オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ
【監督】ルイ=ジュリアン・プティ

色彩豊かな一皿は絶対味見したくなる

昔、若い頃、飲食店で働いたことがあった。勿論、店の形態によって異なることだが、料理人には、様々な料理が存在するように、異なるタイプがいるのを目撃した。そして、ちょっと厄介なのは、料理人がモノを作る職人、極端なことを言えば、クリエイター=アーティスト並みの、プライドを持つ人が存在することだ。

今夜も満席の客で賑わう一流レストラン。その厨房でスーシェフ(料理長直属の料理人で次席の料理人のこと)として働くカティ(オドレイ・ラミー)は、店の定番でもあるオードブル作りに忙しい。独創的な盛り付けで美しい皿に仕上げるカティ。最後の味つけで一瞬の逡巡はあったが、自らの味を自信たっぷりに提供する。

カティはシェフに呼び出され、料理がレシピ通りでないことを指摘される。プライドの衝突。勢い、カティは店を辞めてしまう。

物語はカティの再就職先が決まり大きく動き出す。その職場は移民の少年たちが暮らす自立支援施設で、食を愉しむということからは遠く離れた場所だった。

ここで、邪魔をするのが、料理人としてのプライド。厨房にある食材は缶詰がばかり、乱雑に並べられた器具や食器にも不満爆発。

一流レストランではない新たな職場に、何故そこまで拘るのかは大いに疑問だが、カティはある程度の妥協と闘いつつ、そこにいる移民という過酷な状況下にある少年たちに、次第に影響を受けるようになる。

最近の外国映画、特にヨーロッパの作品には、こうした移民、難民を描くものが少なくない。それは切実な社会問題が、国、地域にあることを意味する。この作品に登場する少年たちにも、様々な規制や条件が課せられている。

希望を抱き苦難を乗り越え、新天地を目指した少年たち。それまでは無縁で生きてきたカティとの化学反応が発生する。

映画は相互の成長物語として、初々しくも美しい人間関係を見せるが、終盤の急展開が出来すぎた話におちるのが少し残念だ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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