岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

差別意識を笑い飛ばす、異文化バトル

2023年05月10日

最高の花婿 ファイナル

©2021 – LES FILMS DU PREMIER – LES FILMS DU 24 – TF1 FILMS PRODUCTION

【出演】クリスチャン・クラヴィエ、シャンタル・ロビー、アリ・アビタン、メディ・サドゥアン、フレッド・チョウ、エロディー・フォンタン ほか
【監督】フィリップ・ドゥ・ショーブロン

やってきた娘婿の癖の強い親たちは如何に?

世界の移民人口(外国生まれ或いは外国籍の居住者)を国別にみると、1位はアメリカで5,063万人、2位はドイツの1,576万人で、フランスは852万人の7位だ。ちなみに日本は277万人で24位である。(2020年国連統計)

敬虔なカトリック信者でゴリゴリ保守の父を持つ4人の娘の花婿は、アラブ人、ユダヤ人、中国人。末娘が「フランス人と結婚する」と聞いて喜んでいたら、連れてきたのは「コートジボワール系フランス人」だった、で始まる異文化バトルが『最高の花婿』(2014)だ。

続いて娘婿たちが海外移住しようとするのを何とか阻止したのが『最高の花婿 アンコール』(2019)。これはCINEXでも上映された。

そしてトリを飾るのが『最高の花婿 ファイナル』である。

今回の作品は、婿たちの親が登場する。本人たちにも増して一癖も二癖もあるキャラ立ちした親ばかりだ。

しかしやっぱり最大のキャラは、ヴェルヌイユ家の主クロード(クリスチャン・クラヴィエ)だ。日本で言う「放送禁止用語・差別用語」など全く考慮せず、ステレオタイプな偏見をジャンジャン言い放つ。笑うに笑えない言動ばかりだが、不愉快に感じるのか否かは人それぞれだ。「言い換え」でわかったような気になるのは、偽善の一歩手前なのかもしれない。

相変わらず小ネタも満載で、画家の三女セゴレーヌに色目を使うドイツ人の富豪が現れると、中国人のシャオとの離婚を密かに期待するクロード。シャオが心配して「クロードは白人の婿が欲しい」とユダヤ人のダヴィドに言うと「でもフランス人はドイツ人が嫌いだ」、シャオ「俺たちにも慣れたし」と安心するというくだり。フランス人は爆笑するんだろうと予想する。

演劇俳優の黒人のシャルルがキリストを演じるのに違和感を言い放つと、「聖書には羊のような巻き毛とある。つまり黒人だ」。

難しく考えずに笑おうという映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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