岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

少年犯罪で対峙する被害者と加害者の物語

2023年05月08日

赦し

©2022 December Production Committee. All rights reserved

【出演】尚玄、MEGUMI、松浦りょう、生津徹、成海花音、藤森慎吾、真矢ミキ
【監督・編集】アンシュル・チョウハン

それぞれの時間も贖罪の行先も見えてこない

男は苛ついていた。

樋口克(尚玄)はひとり暮し。その荒んだ様子は精神的に追い詰められたものなのか? 起因するものが何であるのかは直ぐには分からない。

別れた元妻・澄子(MAGUMI)につきまとうような独善的な行為。無理やり引き込んだ会話かは、裁判に関係する事案が発生していることが徐々に分かってくる。

樋口夫婦には17歳の娘・恵未がいた。しかし、ある日、同じ高校に通う福田夏奈(松浦りょう)により殺害されてしまう。

日本では殺人などの重犯罪の場合、未成年者でも14歳以上で責任能力があると判断されれば、刑事罪に問われる。福田夏奈には懲役20年の判決が下される。

それから7年後ー。被害者の親である克と澄子には、受刑者・福田夏奈の再審請求が受理されたとの連絡が入っていた。

愛する娘を突然失った父親の感情は如何なるものか? その現実を受け入れるために必要な時間は? 結果としての荒んだ生活が見えるだけで、向き合った時間や置かれた状況は明確には示されない。

一方、母の澄子は既に再婚している。新たな生活に入り込んで来る克を拒絶する対応は自然な反応に思える。しかし、再婚相手の直樹(藤森慎吾)が過去に理解を示しているのにも関わらず、ぎくしゃくしてしまう夫婦関係に見える矛盾は、そのまま感情の揺らぎだと理解すればいいのだろうか?

再審の申立て理由により、福田夏奈が殺人行為に至った動機 に "いじめ" があったという、加害者、被害者逆転の構図が明らかになる。

殺人事件の初審裁判にいじめが絡んでいたことを何故、夏奈は供述しなかったのか? 大きな疑問に今更が重なる。

"いじめ" が殺人に発展した重い話なのに、深刻な表情の裏にあるはずの哀しみの本質が見えず、疑問符ばかりが先行するのは、人物描写に深みが足りないことの後遺症かも知れない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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