岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

映画の裏側を覗いたブラックコメディ

2023年04月24日

コンペティション

©2021 Mediaproduccion S.L.U, Prom TV S.A.U.

【出演】ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス
【監督】ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン

3人の俳優も製作に絡んだ "現場" 映画

有り余る財力を持ち、些か持て余している、大富豪の起業家は、お金の使い方を思案。

一流の映画監督と最高の俳優を起用して、歴史に残る映画を作ろうと思い立つ。

こんな奇特な御仁がいたならば、と映画関係者なら思うかも知れないが、こういう上手い話には落とし穴がある。

『コンペティション』は題名から読み取れば、映画祭みたいな場所で、賞を競うあうような事を想像するが、この映画で競い合うことになるのは、個人のプライドのせめぎ合い、腹の探り合いとなる。

天才監督ローラを演じるのは、スペインを代表する女優ペネロペ・クルス。監督業には不釣り合いな妖艶な色気を振りまき、または武器にして、かつ、溢れる才能を開花させた女性を闊達に自由奔放に楽しげに演じている。

スター俳優フェリックスを演じるのは、同じく、スペイン出身の名優アントニオ・バンデラス。シリアスな重厚な役柄も難なくこなすが、本作の役どころのような、つかみどころを欠く軽薄なカリスマ性を軽快に演じている。

この2人のスターは、母国スペインでの共演も多かったが、近年、アメリカ映画の出演が続いていた。久しぶりの母国語でのやりとりに迫力を感じるのはスペイン語の力かも知れない。

そしてもうひとり、演劇界の大御所俳優イバンを演じるのは、オスカル・マルチネス。2人の俳優に挟まれて損な役どころ…実は特な役を飄々と演じている。

序盤から奇抜な展開で突っ込み所満載。ブラックな味つけがあるから、ひょっとしたら映画界ならあり得そうな話、と思えなくもなるところが面白い。

監督はシニカルなユーモアセンスに貫かれた作家性を貫く、ガストン・ドゥプラットとマリアノ・コーンのコンビで、当て書きと思える台詞はウィットに富んでいる。

惜しむなくは、前半の全力疾走が息切れ気味に、後半、少し尻すぼみに展開してしまうこと。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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