岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

偉大な歌手の凄さを、ギュッと凝縮したショー

2023年04月18日

ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson’s Bar & Grill

©Evgenia Eliseeva

【出演】オードラ・マクドナルド
【監督・演出】ロニー・プライス

バーチャルのS席で、興奮の体験

ビリー・ホリデイ(1915-1959)は、私が生まれた頃に亡くなったジャス界の伝説的歌姫である。日本で言えば、今年の秋から始まる朝ドラ「ブギウギ」のヒロインで、ブギの女王・笠置シヅ子(1914-1985)とほぼ同年代、 世界的には同じような境遇で一世を風靡した、シャンソン界の女王エディット・ピアフ(1915-1963)と並んで語られることも多い偉大な歌手である。

不幸な生い立ちで逆境の中で育ちながら、その類まれなる歌声やパフォーマンスでトップスターとなったビリー・ホリデイ。人種差別や性差別と果敢に戦いつつ、飲酒と薬物の乱用でショービズ界からは干されたり、麻薬不法所持で2度に渡って服役した波乱万丈の人生だ。しかし平凡な人生を送る大半な人々からは、その破天荒さが羨望の眼でみられているからこそ、未だに語り継がれているのだ。かくいう私も絶対にマネのできない人生だが、羨ましくもある。

そんな偉大な歌手の凄さを、ギュッと凝縮してショーにしたのが本作である。

「Lady Day ・・・」は、1986年にアトランタで初演されたミュージカルで、2014年ブロードウェイのスター女優オードラ・マクドナルド(1970-)の主演で再演。オードラは6度目のトニー賞を受賞する。そして2016年TV映画撮影用に、有観客でニューオリンズのカフェ・ブラジルで上演し収録したのがこの作品だ。

オードラ以外のキャストはミュージシャンの4人と、声だけで参加するクラブのオーナーのみ。グラスを片手に、曲を歌っては観客に語りかけるという趣向だ。ひとり語りを通じて彼女の人生を浮かび上がらせる。

ピアニストとの絶妙な掛け合いは、これが台本のあるショーだとはとても思えないやりとりだ。そしてオードラの鬼気迫る歌唱とパフォーマンスは、ビリー・ホリデイ本人が乗り移ったかのようで圧倒的!

バーチャルのS席で、興奮の体験だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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