岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

スランプ女性監督が辿り着く映画愛の物語

2023年04月11日

オマージュ

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【出演】イ・ジョンウン、クォン・ヘヒョ、タン・ジュンサン
【監督】シン・スウォン

ディレクターズ・カットは後悔か抵抗か

映画がフィルムであった時代。

想像で創造された映画の台本=脚本は、撮影によって実像となり形を成す。しかし、それはバラバラの断片で、編集や音入れの作業を経て、ようやく1本の映画として完成する。

ところが、映画の完成後、様々な理由によって、その映画が壊され損なわれることがある。

不幸な不自由な時代の検閲は、政策を "盾" に意にそぐわないものを排除、削除しようとする。

また、映画会社によって、興行の都合に合わないなどの理由で、製作者の意に反したカットが強行されることもある。

映画監督のジワン(イ・ジョンウン)は、自身の新作公開に合わせて、上映劇場に出かけるが、場内は閑古鳥が鳴くありさま。言われるまでもなくスランプに陥っていることを自覚している。

家には夫サンウ(クォン・ヘヒョ)と息子のボラム(タン・ジュンサン)がいて、職業監督であると同時に、妻であり母であるということを充分自覚している。本心は映画監督として仕事を続けたいと強く願っているのだが…弱気の虫はそんな決心を揺るがす。

そんな時、ジワンにある仕事の依頼が入る。

1960年代に活躍していた韓国の女性監督ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』の修復をするというもので、新作の撮影のめどすら立たない現状をつなぐ、アルバイトまがいの仕事なのだが、ジワンはその依頼を引き受けることになる。

欠落した音声を入れ直す作業の途中、映画の一部が抜け落ちてしまっていることを発見する。そしてジワンの映画を探す旅が始まる。

監督は本作が長編6本目となるシン・スウォンで、2011年の韓国初の女性映画監督パク・ナモクと2人目のホン・ウノンについてのテレビドキュメンタリーの撮影時に取材した、韓国映画界の女性スタッフの生き方にリスペクトを受けたことが本作製作のヒントとなった。

映画愛=オマージュが、過去と今とを繋ぎ、見事な女性映画に昇華させた強い意志が見える。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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