岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

本の力学びの素晴らしさをあらためて知る映画

2023年04月10日

丘の上の本屋さん

© 2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI

【出演】レモ・ジローネ、コッラード・フォルトゥーナ、ディディー・ローレンツ・チュンブ、モーニ・オヴァディア
【監督・脚本】クラウディオ・ロッシ・マッシミ

個性的で訳ありのお客たちが集う憩いの場所

街に近所に本屋あり。

昭和の話。コンビニがまだなかった時代。週刊漫画雑誌に夢中だった頃、決まった曜日に発刊される本を手に入れるためには、本屋さんに行く必要はなかった。近所にあった駄菓子屋、雑貨屋の店先には備え付きのラックがあって、漫画本はそこに並んだ。

だから、本屋さんに行くのはわざわざだったり、ちょっと敷居が高かったりした。

それでも漫画本一辺倒を卒業すると、興味は小説とか活字の本に移って、敷居はなくなって、ふらりと立ち寄れる場所になった。

ところが、ちょっと厄介だったのは、本屋さんのオヤジ(又はオバサン)の仏頂面。立ち読みを許さないぞという暗黙の威圧。

『丘の上の本屋さん』は、イタリアの丘陵地帯にある丘の上の本屋さんが舞台。そこは "最も美しい村" のひとつに数えられる "チビッテラ・デル・トロント" で、小さな店が軒を並べる人々の生活の場でもある。

店主のリベロ(レモ・ジローネ)が店を開けると、隣のカフェで働くニコラ(ゴッラード・フォルトゥーナ)がやって来て、慣れた手順で開店の準備の手伝いをする。

リベロは日本でもイタリアでもご多分にもれず、ちょっと偏屈な雰囲気がある本屋のオヤジ。やっぱりだが、店が古本屋であることで、それは強調される(これは偏見かも)。

ある日、店先に並べてた本を熱心に見入る移民の少年エシエン(ディディー・ローレンツ・チュンブ)にリベロは声をかける。

ふたりは本について話し始める。話を聞くエシエンの瞳は、好奇心で輝きを増す。リベロは少年に本を差し出す。本好きの少年を教師のように指導し見守るというのは、出来すぎた美談のようにも思えるが、これがそうでもない。

偏屈な頑固ものは本好きを同志としたいと実は熱望している。映画は学ぶことの大切さをそっと教えてくれる。そして、忘れかけていた懐かしい時に引き戻してくれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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