岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品雑魚どもよ、大志を抱け! B! 悪童たちがとびっきりに輝く青春映画 2023年03月27日 雑魚どもよ、大志を抱け! ©2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会 【出演】池川侑希弥(Boys be/関西ジャニーズ Jr.)、田代輝、白石葵一、松藤史恩、岩田奏、蒼井旬、坂元愛登、臼田あさ美、浜野謙太、新津ちせ、河井青葉/永瀬正敏 【監督】足立紳 少年たちの成長がその表情に現れる瞬間 時代は1988年、周囲を囲む山々には残雪がある山間の町。学年末の修了式の日、家に帰った瞬(池川侑希弥)は、渡した通知表を手にした母からの集中小言砲火を浴びている。6年になったら、学習塾に行く約束を実行しなければならない追い詰められた状態。部屋でふて寝をしていると、相棒からの合図、飛んで来た小石が窓をノックする。家を抜け出す瞬。 迎えに来ていた相棒の隆造(田代輝)と自転車を蹴る。学校を休みがちの元太(トカゲ)、TVゲームマニアの正太郎を誘い、近所の駄菓子屋でひと騒ぎ起こしたり、学校の池の主オオサンショウウオを引きずり出して、先生に追いかけられたり…辿り着くのはみんなの秘密の場所 "地獄トンネル" の入口だった。 ここまでのオープニングの情報量が凄まじい。例えば、仲間4人組の家族の事や、ご近所付き合いの濃淡だったりを一気に見せる。 撮影はハンディカメラを多用し、ライブ感を重視している。自転車の疾走まで追いかける勢いは、ワンカットでやりたかったのではないかと邪推したくなるくらいの拘りを見せる。 『雑魚どもよ、大志を抱け!』は、足立紳監督の小説「弱虫日記」をもとに脚本化(松本稔と共同)したもので、自身の子どもの頃の体験に基づいた自伝色の強い作品でもある。 少年たちの家庭環境の怖さ。 瞬の母は乳がんの手術を受けたことで、時折、悲観が爆発して家族を巻き込む。 隆造の家はもっと複雑で、父親はヤクザで人殺しだと、まことしやかに冷たい差別を受ける。トカゲの母は新宗教にハマっていたり、正太郎の家の姉の不良感は度を超している。 そして、小6の男子のグループ抗争の度合い。 所々にあるデフォルメが、引いてしまう要因となるのは、笑いに紛れたとしても少々辛い。 主人公である子どもたちを優しく見つめた演出は秀抜。特に、瞬と隆造が長台詞で対峙するシーンでのワンカットの演出は素晴らしく感動的だが、子どもたちの演技に魅せられた弊害が、所々に間延びとして露見するのは脚本家の性。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (13)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2018年04月11日 / 日田シネマテーク・リベルテ(大分県) 山間にある水郷の街で、映画に向き合う至福の時間 2022年06月22日 / 小山シネマハーヴェスト(栃木県) 遊園地の跡地に出来た商業施設で映画を観た後は… 2019年07月03日 / 有楽町スバル座(東京都) 日本初のロードショウ劇場として名作を送り続けてきた more
少年たちの成長がその表情に現れる瞬間
時代は1988年、周囲を囲む山々には残雪がある山間の町。学年末の修了式の日、家に帰った瞬(池川侑希弥)は、渡した通知表を手にした母からの集中小言砲火を浴びている。6年になったら、学習塾に行く約束を実行しなければならない追い詰められた状態。部屋でふて寝をしていると、相棒からの合図、飛んで来た小石が窓をノックする。家を抜け出す瞬。
迎えに来ていた相棒の隆造(田代輝)と自転車を蹴る。学校を休みがちの元太(トカゲ)、TVゲームマニアの正太郎を誘い、近所の駄菓子屋でひと騒ぎ起こしたり、学校の池の主オオサンショウウオを引きずり出して、先生に追いかけられたり…辿り着くのはみんなの秘密の場所 "地獄トンネル" の入口だった。
ここまでのオープニングの情報量が凄まじい。例えば、仲間4人組の家族の事や、ご近所付き合いの濃淡だったりを一気に見せる。
撮影はハンディカメラを多用し、ライブ感を重視している。自転車の疾走まで追いかける勢いは、ワンカットでやりたかったのではないかと邪推したくなるくらいの拘りを見せる。
『雑魚どもよ、大志を抱け!』は、足立紳監督の小説「弱虫日記」をもとに脚本化(松本稔と共同)したもので、自身の子どもの頃の体験に基づいた自伝色の強い作品でもある。
少年たちの家庭環境の怖さ。
瞬の母は乳がんの手術を受けたことで、時折、悲観が爆発して家族を巻き込む。
隆造の家はもっと複雑で、父親はヤクザで人殺しだと、まことしやかに冷たい差別を受ける。トカゲの母は新宗教にハマっていたり、正太郎の家の姉の不良感は度を超している。
そして、小6の男子のグループ抗争の度合い。
所々にあるデフォルメが、引いてしまう要因となるのは、笑いに紛れたとしても少々辛い。
主人公である子どもたちを優しく見つめた演出は秀抜。特に、瞬と隆造が長台詞で対峙するシーンでのワンカットの演出は素晴らしく感動的だが、子どもたちの演技に魅せられた弊害が、所々に間延びとして露見するのは脚本家の性。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。