岐阜新聞 映画部

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安楽死を考える家族の物語

2023年03月13日

すべてうまくいきますように

© 2020 MANDARIN PRODUCTION – FOZ – France 2 CINEMA – PLAYTIME PRODUCTION – SCOPE PICTURES

【出演】ソフィー・マルソー、アンドレ・デュソリエ、ジェラルディーヌ・ペラス、シャーロット・ランプリング、ハンナ・シグラ、エリック・カラヴァカ、グレゴリー・ガドゥボワ
【監督・脚本】フランソワ・オゾン

別れる方法が選択できたらという問いかけ

85歳のアンドレ(アンドレ・デュソリエ)は、人生を謳歌する愉しい日々を過ごしていた。しかし、ある日、脳卒中に倒れ身体の自由を失う。 小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)は、父の大事を聞きつけ直ぐに駆けつける。医師から告げられた父親の容態は、右半身麻痺の症状は回復は見込めないというものだった。

そしてベッドに伏した父親からは、まさかの"願い" を告げられる。

『すべてうまくいきますように』は、脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説を原作に、フランスの名匠フランソワ・オゾンが脚色、監督した作品である。

アンドレの願いは "人生を終わらせて欲しい" というものだった。エマニュエルは妹のパスカル(ジェラルディン・ペラス)と共に、この父親から突きつけられた難問に戸惑いつつも、真摯に対応を考える決断をする。

安楽死は苦痛を与える事なく人(あるいは動物)を死に至らしめることを言い、一般的には医療の場で使われる事が多い。その方法としては医師の助けによる、積極的安楽死と、治療を停止することで死に至る、消極的安楽死に分かれる。別の表現としては尊厳死が使われるが、そこに明確な定義はない。

映画の舞台であるフランスでは2016年に成立した法律で、消極的安楽死は認められることになったが、積極的安楽死は禁止されている。

日本の法律でも、ほぼ同様の解釈である。

昨年9月、91歳のジャン=リュック・ゴダール監督は、自らの意思のもと、スイスで自殺ほう助を受けて死去した、というニュースは世界を驚かせた。ゴダールはフランス人だが、国籍はスイスにあった。映画でも法律で自殺ほう助が合法化されているスイス行きが持ち上がる。

安楽死に対する考え方は世界的にも一様ではなく、宗教的な問題が絡みより複雑になる。映画は深刻な "人の死ぬ権利" について、少しのユーモアを忘れる事なく、ある家族の物語を通して問いかける。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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