岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

世界一の映画大国から映画に愛をこめて

2023年02月27日

エンドロールのつづき

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【出演】バヴィン・ラバリ、バヴェーシュ・シュリマリ、リチャー・ミーナー、ディペン・ラヴァル
【監督・脚本・プロデューサー】パン・ナリン

お母さんのお弁当は美味しさに溢れる お帰りにはカレーが食べたくなる

はじめに…インド映画が苦手だ。かなりはみ出す超絶アクションについて行けない。脈絡も不鮮明なまま、突然、踊り出すことに唖然とする。勢いまかせの独特の振付を見せられると、わけもなく疲れを感じる…そして、何故か上映時間が長い。

現在、インド映画は何回目かのピーク期にあるらしい。一説には、最初のピークは同じパターンの作品が続いて飽きられたとか?

しかし、今回は違っていて、インド映画は世界を席巻している。確かに、『RRR』はロングラン公開中で、アカデミー賞にもノミネートされ、その他の賞でも受賞が続いている。

我々の世代のインド映画のイメージは、それとは少し違っているのだが…。

9歳のサマイ(バビン・ラバリ)は、学校から帰ると、家業であるチャイ売りの手伝いをする。

サマイの家は、インド社会にあるカーストの身分制度上は上位にある家柄だったが、事業に失敗して没落し、今は駅で細々とチャイを売る商売をしている。しかし、父親は厳格な性分が抜けることなく、映画は下劣なものと普段は鼻にもかけない。ところが、信仰するカーリー女神の映画が上映されることで一変、家族揃っての映画見物に出かけることになる。

インドはまもなく、いや、既に、世界一の人口を有する、公用語だけでも20を超える多民族多宗教の国である。映画産業も多民族多言語に対応したこともあり、重層的に広く発展を遂げている。

カーリー女神の映画は大盛況で、サマイの家族は人混みを掻き分け、チケットを手に入れ、満員の客席に着く。暗くなった場内に映写口から光が伸びる。客席のサマイはそれに導かれるように身を乗り出しスクリーンに釘付けとなる。

映画に魅せられた少年の映写技師との交流、友だちとの冒険譚は魅惑的で愉しいが、フイルムからデジタルへ移行する時代を描き、その儚さを加えることで、更なる郷愁を醸し出した。

最後の名匠たちの連呼はずるいくらいだが、瑞々しく美しい映画愛に満ちた作品だ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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