岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

映画館に集う人々の愛に溢れた群像劇

2023年02月20日

銀平町シネマブルース

©2022「銀平町シネマブルース」製作委員会

【出演】小出恵介、吹越満、宇野祥平、藤原さくら、日高七海、中島歩、黒田卓也、木口健太、小野莉奈、平井亜門、守屋文雄、関町知弘(ライス)、小鷹狩八、谷田ラナ、さとうほなみ、加治将樹、片岡礼子、藤田朋子/浅田美代子、渡辺裕之
【監督】城定秀夫

ごった煮だけど再生の希望が見える

映画の舞台となる "小屋" 銀平町スカラ座は、架空の街にある架空の映画館である。

街の小さな公園のベンチ。近藤猛(小出恵介)は、隣ににじり寄って来た、いかにもホームレス風の男・佐藤(宇野祥平)に映画のチラシを買ってくれないかと迫られる。どうみてもタカリだが、猛は渋々なけなしの金でそれを受入れる。

そこに待人である友人がやって来る。どうやら借金の申込みだったのだが、妻に止められたことを理由に話は御破算になる。おまけにその隙にホームレス男に鞄を置き引きされてしまう。

この後、生活保護の給付金詐欺の怪しいセミナーで、猛と佐藤は再会し、もうひとり、キーパーソンとなる梶原(吹越満)と出会う。

梶原はスカラ座の支配人だった。映画館の経営は傾き、従業員の給料の支払にも苦慮し、借金が大きな重石になっていた。そんな状態でありながら、住む場所もない猛のため、梶原は寝る場所を提供し、映画館に雇い入れる。

銀平町スカラ座は、かつてはどこかのちょっとした街にあった映画館。入口に貼られたポスターから、名画座だと推測できる。不思議なのは、経営難にありながらも、ふたりの若い女性スタッフがいて、立派な映写技師もいるなど、いくつかの疑問が湧き上がるのだが…。

細かいことはさて置いて。小屋には個性的な常連客がいたり、猛はホラー映画のカルト的な監督だった過去が明らかになり、映画熱を原動力に、スカラ座復興のアイデアを捻り出し邁進するという、かなり強引な展開となる。

これは偶然なのかも知れないが、最近、映画、あるいは映画館を題材にした作品が多く公開されている。本作も然り、小屋に集う訳ありの人も、そうでもない人も、映画で繋がっている。

『カサブランカ』の名場面で号泣する観客。劇中映画の2本立には作り手の情熱が込められる。

未完の映画を完成させる猛のスターティングオーバー。スカラ座は映画愛に見守られ復活の予感を見せる。楽観過ぎるかもしれないけれど、嫌いにはなれない再生の物語である。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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