岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ワインのない国から世界に挑戦した男たちのドキュメンタリー

2023年02月07日

チーム・ジンバブエのソムリエたち

©2020 Third Man Films Pty Ltd

【監督】ワーウィック・ロス、ロバート・コー

難民だけどポジティブに前を向いた志が美しい

ジンバブエ共和国はアフリカ南部にある。東はモザンビーク、西はボツアナ、南は南アフリカ、北はザンビアに国境を接する内陸の国で、国土は日本より少し大きい程度だが、人口は1600万人ほどで、様々な言語を持った民族部族が存在する。一時、膨大なインフレに見舞われ、額面○○兆ドルの紙幣が流通したことがニュースにもなった。2000年代頃から政情は、不安定で、紛争内乱が多発するようになる。

そんなジンバブエから難民として、隣国南アフリカに逃れて来た4人の男が主人公。

そもそも、アフリカの国々に関する知識がないので、軽々なことは言わない方が、とは思うのだが、まず、難民として4人が南アフリカ共和国のケープタウンにやって来ることに、少し違和感がある。南アフリカは確かにアフリカの諸国の中では先進国だが、政情とか難民が仕事を見つけられる経済的な余裕があるのだろうか?という認識。4人にとってのその地は、当然、美しい楽園でも何でもない。何処の国でも大差はないのか?

しかし、幸運だったのは、密かな才能の芽を見つけられたことだった。ソムリエとなった4人は、権威あるワインテイスティングのコンテスト、"世界ブランドワインテイスティング選手権" に出場することになる。

『チーム・ジンバブエのソムリエたち』は、ジンバブエ代表として大会に挑むことになる4人を追ったドキュメンタリーである。

ジンバブエは農業国だが、葡萄によるワインの醸造とは無縁。映画の中で指摘されているように、「雪の降らないエジプトからスキー大会に出場するようなもの」。

1994年に公開された『クール・ランニング』(ジョン・タートルトープ監督/1993年)は、ボブスレーでカルガリー冬季オリンピックの出場を目指した南国ジャマイカチームの話だった。スポーツと味覚、劇映画とドキュメンタリーの違いはあれど、ちょっと地味でも、志は同じ。そこに見える高揚感や達成感は心地良く届く。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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