岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

主婦の思いつきが夢に変わる実話ベースのサクセスストーリー

2023年01月30日

ドリーム・ホース

© 2020 DREAM HORSE FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

【出演】トニ・コレット、ダミアン・ルイス
【監督】ユーロス・リン

レースの最中握り締めた掌にあるのは馬券だけではない

"競馬には夢がある"

勿論、競馬はギャンブルだから、先ずは、一獲千金を夢見る賭けとしての要素。ここでは、依存症とかを持ち出して水を差すようなことはしないで、一喜一憂する楽しみ。

競走馬を生産する夢。そういう言い回しだと機械的で虚しい響きがあるけれど、血統とかが絡むと広大な世界観が見えて別の領域となる。そこには調教という成長を期待する夢や、レースで騎乗する騎手の夢も付随する。

その根本にあるのが馬主という存在。それをピラミッドの頂点として全体像を俯瞰すると、これにはちょっと下衆な話…お金のことが見えてきてしまう。馬は生き物、そこには莫大な経費が必要となる。

イギリス・ウェールズ、谷間にある小さな村が舞台。ジャン(トニ・コレット)は、何事にも反応が鈍くて覇気のない無職の夫とふたり暮らし、親の介護とパートの仕事に追われていた。

ある日、馬主経験のあるハワードの話を聞いたジャンは、競走馬を育てることを思いつく。そしてそれは村人を巻き込んで、共同馬主になる構想へと発展していく。

ジャンたちは、週に10ポンドずつを出し合って組合をつくる。夢の同盟=ドリームアライアンスの結成は、馬の種付から始まる壮大な計画で、徐々に高まる期待の具現化は、村人たちの必ずしも充実しているとはいえなかった日常を刺激し、ひとりひとりの表情が美しく逞しく明るく変化していく。

そして、ピンチを乗り越えた先には、感動のクライマックスが用意されている。

この物語は実話ベースでドキュメンタリーも製作されている。イギリス映画の労働者階級の庶民を主人公にしたサクセスストーリーには外れがないことを立証する作品である。

そういえば、昨年逝去されたエリザベス女王が、競馬場のレース観戦で、我を忘れてはしゃぎ応援する姿を思い出した。"競馬の夢" そこに階級格差はない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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