岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

わかりやすくストレートなミュージカル。観て損のない映画

2023年01月24日

トゥモロー・モーニング

©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan

【出演】サマンサ・バークス、ラミン・カリムルー、ジョーン・コリンズ、ハリエット・ソープ、ジョージ・マグワイア
【監督】ニック・ウィンストン

頭で考えてはいけない。感じればいい

名古屋で観た生のミュージカルで思い出すのは、劇団四季の「ウエストサイド物語」、宮本亜門の「ボーイズ・タイム-~つよく正しくたくましく~」、三谷幸喜の「オケピ!」などだ。それらの楽曲の素晴らしさはもちろん、ダンスの見事さは今でも脳裏に焼き付いている。

しかし以外に覚えてないのがお話の内容だ。「ウエストサイド物語」は別格として、お芝居上でのお話は刺身のツマにしか思えない。何故か"リアリティ"など、どうでもよくなってくる。

それが映画化されると、設定は全く同じでも何故か"絵空事"にしか思えない時がある。

『トゥモロー・モーニング』は、2006年にイギリスで生まれ、日本でも評判を呼んだ傑作ミュージカルの映画化だ。私は生のステージを観てないが、恐らく感動したに違いない。

ここまでこんなに長い引用を持ってきたのは、私にとってこの映画の物語があまりに古臭く、夫婦至上主義の陳腐な結論にしか思えないからだ。結婚前夜と離婚前夜の夫婦が交互に出てきて、同じ人物が何故このような事態に?という設定だが、最初から結末が透けて見える。

歌やダンスを際立たせるには、物語が複雑であってはいけない。セリフ中心のストレートプレイじゃなくミュージカルなんだから、お話は二の次だ。ということか?

と書いてきたが、なんだか私の負けの様な気がしてきた。「それのどこがいけない?」。

そうなのだ。頭で考えるからいけないのだ。「Don’t think. FEEL!(考えるな、感じろ!)」なのだ。

とにかくミュージカルシーンはどれもこれも素晴らしい。キャッチーでメロディアスな楽曲はハミングしたくなるし、身体を揺さぶらせてくれる。わかりやすくストレートな演出は、歌や踊りを決して邪魔していないし、主演のミュージカルスター、サマンサ・バークスとラミン・カリムルーの歌声を聴くだけでも元はとれる。観て損のない映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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