岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

郡上八幡で癒される、温泉みたいにあったまる映画

2023年01月13日

ひみつのなっちゃん。

©2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

【出演】滝藤賢一、渡部秀、前野朋哉、カンニング竹山、豊本明長、本多力、岩永洋昭、永田薫、市ノ瀬アオ(821)、アンジェリカ、生稲晃子、菅原大吉・本田博太郎・松原智恵子
【監督・脚本】田中和次朗

滝藤さんのファッションに注目、オシャレ好きには堪らない

仲代達矢さん主宰の「無名塾」出身で、変幻自在の演技力で圧倒的な存在感のある滝藤賢一さん。ファッションブック「服と賢一 滝藤賢一の『私服』着こなし218」を発売するなど筋金入りのファッショニスタでもある滝藤さんが、オシャレの極致でもあるドラァグクイーンをやる!本作を観ていたら、キメキメのファッションから抜け感のあるコーデ迄どれ一つとっても全て極まっていた。それを見るだけでもオシャレ好きには堪らない一本だ。

猥雑だけど解放感もある新宿二丁目。世界的にもほかにないと言われるLGBTQ+の聖地は、多様性の象徴でもある。ここへくれば自分の性的指向を隠すことなくおおいに発散できる。映画はそんな独特な雰囲気の街で個性的な人たちが踊ったりお喋りしたりする様子を映し出していく。

そんな中、自分の身元にふれられそうになると上手に誤魔化してきたLGBTQ+仲間のなっちゃんが突然死んでしまう。なっちゃんは、郡上八幡の自分の家族には性的指向をひた隠しにしてきた。実家でのお葬式に向かう古い友人のバージン(滝藤賢一)・モリリン(渡辺秀)・ズブ子(前野朋哉)の珍道中ぶりが笑いを誘う。

この3人のLGBTQ+ぶりは、とても演技とは思えないほどに艶っぽく色気があって優しく美しい。バージンたちが近くにいると、疲れたココロを解きほぐしてくれ嫌なことを忘れされてくれるに違いない。

映画は清流と暮らす城下町・郡上八幡へと車で向かう。途中コントみたいなおバカエピソードが続いていくが、ちょっと羅列的になりすぎか、細切れ感があるのは否めない。

私は郡上八幡へは何度も行っているが、城跡から見える古い街並みと蒼く細い川は気持ちをほっこりさせてくれて大好きな街である。

クライマックスはこの街だが、観光地案内的にはならず上手に物語に溶け込ませている。カット尻が長く若干間延びをしているが、温泉みたいにあったまる映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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