原題の "リタ・ヘイワース" は刑務所の房の壁に貼られたポスター

モダン・ホラーの帝王と言われることもあるアメリカを代表する小説家・スティーブン・キングのことは、ご存知の方も多いだろう。1974年の長編デビュー作「キャリー」は、早くも76年にブライアン・デ・パルマ監督によって映画化された(日本公開77年)。『キャリー』は公開当時、劇場が揺れたとまで噂された衝撃的なラストシーンが有名なキング原作のホラー映画の代表作となった。

77年に発表した「シャイニング」は、スタンリー・キューブリック監督によって映画化(80年)されたが、その作品の出来にキングは不満を表明し、96年のテレビドラマ版では、自ら監修をし映像化への熱意を示している。

また、短編小説の映画化権を学生や駆け出しの映画製作者に1ドルで提供する支援活動をしている。ここから育った映像作家たちは、"ダラー・ベイビー" と呼ばれる。その1人が、『ショーシャンクの空に』の監督フランク・ダラボンで、学生時代にはキングの短編小説「312号室の女」を短編映画化している。勿論、映画化権は1ドルだった。

フランク・ダラボンの両親は "ハンガリー動乱" から逃れた政治難民としてアメリカに来たハンガリー人で、難民収容所のあったモンベリアルで、フランクは誕生した。

初監督作品として短編を製作したのが83年で、その後は、ホラー映画などの脚本家としてキャリアを積んだ。

1947年、アメリカ・ポートランド。銀行で課長を務めるアンディ(ティム・ロビンス)は、妻とその愛人を射殺した罪に問われる。裁判中、終始無実潔白を主張するが、終身刑の判決が下され、劣悪な環境で名高い "ショーシャンク刑務所" への服役が決まる。

物語は長い刑務所生活で "調達屋" として君臨しているレッド(モーガン・フリーマン)との友情を軸に、アンディの数奇な刑務所生活が描かれる。

『ショーシャンクの空に』はダラボン監督の最初の長編映画。アカデミー賞では7部門でノミネートされ無冠に終わったが、口コミで評価が高まり、今では名作と位置付けられている。