岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

謎解きの時間をくれない韓国サスペンス

2022年12月12日

君だけが知らない

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【出演】ソ・イェジ、キム・ガンウ、パク・サンウク、ソンヒョク
【監督・脚本】ソ・ユミン

止まった記憶 見えてくる未来

病院のベッドに横たわるスジン(ソ・イェジ)。包帯を巻かれた痛々しい姿。心配げに声をかけてくるのが夫のジフン(キム・ガンウ)…らしいのだが…彼女は記憶をなくしていた。

とある事故に遭遇したスジンは、ジフンの優しく寄り添うサポートによって次第に回復していく。事故前には、絵画教室で講師をしていたことや、両親を亡くし、身内もいない天涯孤独の身の上であることを知らされる。

建築事務所の代表をしているジフンは、何故か、以前からの計画というカナダへの移住の実現に奔走している。

日常生活に戻ったスジンだったが、時おり発作的に幻覚を見るようになる。それがこれから起こる未来であることがわかるのだが、ある日、殺人現場を目撃することになる。それは予知夢まがいの幻覚なのか?

しかし、実際に死体が発見されることになり、スジンの精神はバランスを崩しはじめ、夫のジフンにさえ疑いをいだくようになる。

監督、脚本は『八月のクリスマス』(1998年/日本公開99年)、『四月の雪』(2005年)などのヒット作で知られるホ・ジノ監督のもとで、脚本、助監督を務めたキャリアを持ち、本作が監督デビュー作となる女流ソ・ユミン。

謎めいたプロットを積み重ねて、巧みに物語を牽引し、オリジナル脚本を構成する力量は、脚本家としての基礎があってこそ成せる技だろう。

韓国映画が得意とする予測不能な展開は、単調なあみだくじを巡るストーリーとは違い、時に、禁じ手スレスレで、辿る道筋の大またぎをする。

次々と起こる不可解な事件には触れられないが、通常そこにあるいくつかの伏線は、緊張感を持続しさえすれば徐々に回収されていくのが、この手のサスペンス劇のセオリーなのだが…。

記憶喪失と未来の予知という設定に新鮮味はないが、ハリウッド映画にある予想の範疇におさめる安定感を超える破天荒さが、絶好調韓国映画の魅力であることは認めなければならない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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