岐阜新聞 映画部

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天才物理学者・湯川学の謎解き。安定の本格ミステリー

2022年12月13日

沈黙のパレード

©2022「沈黙のパレード」製作委員会

【出演】福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上淳、吉田羊、檀れい、椎名桔平
【監督】西谷弘

手際よく描かれる推理の過程

本格ミステリー映画の醍醐味は、探偵あるいは謎を解き明かしていく人物が、巧妙に張り巡らされたトリックを一つ一つ見破っていき、犯人を追い詰めていくまでの緊張感あふれる展開だ。その冴えわたる謎解きや思いもかけないどんでん返しに爽快なカタルシスを覚えるのだ。

『沈黙のパレード』は、東野圭吾氏のガリレオシリーズが原作で映画化第3作。私は恥ずかしながら小説を読んでなく、またテレビドラマも見ておらず、映画も1作目『容疑者Xの献身』(2008/キネ旬38位)のみ鑑賞。従って人物関係も馴染みの展開もほぼ知らず、ほぼまっさらで観た。

ミステリーで重視される3つの要素は、①フーダニット(Who done it?)=「誰がやったのか」--犯人の解明、②ハウダニット(How done it?)=「どうやったのか」--犯行方法の解明、③ホワイダニット(Why done it?)=「なぜやったのか」--動機の解明、と言われている。

本作で探偵に該当するのは、天才物理学者・湯川学(福山雅治)。理屈っぽい変人だ。

湯川の第一のミッションは、数年後に遺体となって発見された行方不明の女子学生の事件解決で、犯人は誰か?どうやって殺したのか?動機は何か?というもの。ミステリーの3つの要素がテーマとなっている。

しかし当然ながら話は一直線にはいかない。ミステリー映画の黄金パターンの通り、次の死者が用意される。ここでも、①犯人②方法③動機の3つの要素が出てきて、先に出てきた3つの要素と密接に絡み合ってくる。

映画は、湯川が物理学の知識を総動員して、②の殺害の方法やトリックを見破っていくのが本作最大の見どころであり、犯人解明までの推理の過程が手際よく描かれていく。

映画中の「パレード」のシーンが若干長すぎて中だるみしたのと、湯川の変人度が期待したほどではなかったが、本格ミステリー映画としては充分楽しめる。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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