岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

陽だまりで佇む自分探しのラブストーリー

2022年11月24日

窓辺にて

© 2022「窓辺にて」製作委員会

【出演】稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、松金よね子
【監督・脚本】今泉力哉

理解は難しいかも?でもパフェは食べたくなる

"ひとり" カフェでくつろぐ市川茂巳(稲垣吾郎)。ゆったりとした贅沢な時間。

夫婦 "ふたり" 帰宅した茂巳を迎える紗衣(中村ゆり)。共通の話題は近々に発表される文学賞のこと。いちばんのお気に入りの作家の名前を茂巳が口にすると紗衣も同調する。出版社の編集者である紗衣の担当作家水木にふれるが、当たり障りのない正直な感想を返す。水木のことは悩みの種子らしい。紗衣にも茂巳にとっても…打ち解けた夫婦の会話だが、微妙な距離感の存在が見える。

文学賞の受賞記者会見。受賞したのは女子高生作家久保留亜(玉城ティナ)。質問に答える留亜は、不機嫌を隠そうともしないつっけんどんな態度。そもそも質問が面白くないとでも言いたげ。

フリーライターである茂巳が質問に立つ。明らかに反応の違いを滲ませながらも、キャラを維持する若き作家。その後、紗衣の要望で、ひとり別室に呼ばれた茂巳。作家と元作家のフリーライター "ふたり" 年齢差を感じさせない対話だが、ふとした瞬間に幼さを見せる紗衣がいた。

『窓辺にて』は今泉力哉作品らしい会話劇で、場を変え、人を変えて進行する。

紗衣は担当作家の水木(倉悠貴)と不倫関係にある。創作に悩む人気作家。それを励ます担当者。だが、その関係には既に倦怠が見える。

もうひとつの不倫は、茂巳の友人のプロサッカープレイヤー有坂(若葉竜也)。ケガや年齢のこともあり、進退で悩みを抱えている。幸せな家庭がありながらの癒しを求める関係には、ご都合優先の男のエゴが滲む。

主人公である茂巳の存在は実は掴みどころがないといなくもない。つまりは謎が多い。妻の浮気を知りつつも、それに腹が立たない自分を振り返る。紗衣や有坂夫婦との真摯な接し方を見れば、自己分析ができないことが不思議に思える。

そして、彼が放つ "無害感" 女子高生とラブホでふたりきりになれる。市川夫妻はセックスレスなのか?そもそも生欲すらないのか?

今泉映画の世界にいつの間にか引き込まれ、むず痒いザワザワ感の快楽に浸れる映画だ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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