反LGBTの国に舞い降りた水球ゲイ軍団の奮闘編
2022年11月14日
シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ
© 2022 LES IMPRODUCTIBLES - KALY PRODUCTIONS - FLAG - MIRAI PICTURES - LE GALLO FILMS
【出演】ニコラ・コブ、ミカエル・アビブル、デイヴィット・バイオット、ロマン・ランクリー、ローランド・メノウ、ジェフリー・クエット、ロマン・ブロー、フェリックス・マルティネス、ビラル・エル・アトレビー、ピエール・サミュエル、ブリアナ・ギガンテ ほか
【監督・脚本】セドリック・ル・ギャロ、マキシム・ゴヴァール
どんな逆境も笑い飛ばすメンバーたち
フランス本国では2019年5月に公開された『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』。前作は純粋なフランス映画であったが、続編の今作『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』は仏日共同製作となっている。
鑑賞後にネットで調べたら、前作を配給したフラッグにフランスの製作会社から「続編を作るけど、劇中のゲイゲームズ開催地の設定を香港から東京に変えるので一緒にやらない?」と声をかけられ「やります」と答えたことから始まったらしい。
当初は日本でも撮影を行う予定であったがコロナ禍で難しくなり断念、劇中の東京ゲイゲームズのシーンはフランスで撮影されたとのこと。どおりで何かむずがゆく、想像上の日本みたいな違和感を感じてしまったのかもしれない。ただシュリンプスの日本遠征シーンは、映画の構成上おまけみたいなものなのでテーマとは関係ないし許せる範囲だ。
本作は同性愛を政治的に抑圧する国にたまたま舞い降りてしまった水球ゲイ軍団の奮闘編。フランスのエスプリの要素を前提に、アメリカのスラプスティック・コメディの要素も加味した社会派ドタバタコメディーとなっている。
パリから東京へ行く間に乗り継ぎに失敗し滞留することになる寒い国ってアソコしかないと思うが、共同監督のギャロ&ゴヴァールによると特に特定してないらしい。今年10月にロシア下院で「反LGBT法」が可決したのは偶然なのか必然なのか?恐ろしく一致するのだ。
チームメンバーが放り込まれた「反LGBT」の国の「ゲイ狩り」は恐ろしいが、これさえ笑いに変えてしまうしたたかさは愉快で仕方ない。
同性愛者を矯正する救済プログラムの実態を描いた『ある少年の告白』(2018)に出てきたような更生施設にメンバーが収容されるのは滑稽でしかないが、真面目に取り組む教官たちも哀れである。
どんな逆境も笑い飛ばすメンバーたち。あとは優勝あるのみだ。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。