岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

見られ続けた16年間の記録

2022年11月01日

プリンセス・ダイアナ

© 2022 DFD FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

【監督】エド・パーキンズ

SNSという新たなパパラッチは姿も見えない

1997年8月31日未明、元ウェールズ公妃ダイアナは、フランス・パリのアルマ橋トンネルでの交通事故により死去した。

このニュースを聞いたのは、名古屋の喫茶店でのモーニングタイム中だったと記憶している。日本とフランスの時差は8時間で、8月はサマータイム中だから時差7時間。日本にその一報が届くのは昼前、その時点では、事故に遭遇した事を知らせるもので、死亡の報ではなかったかも知れない。

多くの有名人のロマンスと同じく、ダイアナのロマンスも噂の煙から始まる。

煙を敏感に嗅ぎつけたマスコミたちは、噂の中心に群がる。明確な答えなどできるわけがないことを承知の上で、矢継ぎ早の質問が飛び交う中、当時、19歳のダイアナ・スペンサーは笑顔でマスコミをかわす余裕すら見せる。

『プリンセス・ダイアナ』は、チャールズ皇太子のお妃候補としてクロードアップされた19歳のこの時1981年から、97年の突然の死までの16年間を見つめ直したドキュメンタリーである。

"パパラッチ" は有名人を被写体にスキャンダラスな内容を想起させる写真を撮影するカメラマンを指す言葉で、その起源はイタリア映画『甘い生活』(フェデリコ・フェリーニ監督/1960年)でマルチェロ・マストロヤンニが演じた記者が所属する、ゴシップ新聞社のフォトジャーナリストに対して用いられたのがはじまりとされている。

元はうるさい "ヤブ蚊" のことをいう方言で、パパラッツォの複数形がパパラッチになった。

婚約発表の頃の喜びが素直に弾ける笑顔から、次第に視線=カメラを避けるように、あるいは俯き加減に曇り始めるその表情の変化は、群がるパパラッチの理不尽な振舞いと正比例するように顕著化するのだから、彼女を死に追いやったのは誰なのか?という犯人探しが、パパラッチに向くのは当たり前のようにも見えるが…?

膨大なニュース映像からホームビデオまで、様々な映像を、ノーナレション、偏りなし、過剰演出なしで繋いでいる。そしてそこに見えてくる問題提示にドキリとさせられる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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