岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

スタッフ総出で観客を楽しませてくれる老舗名画座

2018年08月30日

目黒シネマ(東京都)

【住所】東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1
【電話】03-3491-2557
【座席】100席

 落語の名作「目黒の秋刀魚」で有名な目黒駅から歩いて3分ほど、夕暮れ時の佇まいが味わい深い権之助坂の入口に、2本立ての名画座「目黒シネマ」がある。前身は昭和30年にオープンした大蔵映画が経営するふたつのチェーン館「目黒ライオン座」と「目黒金龍座」だ。

 名画座となったのは、一館体制で再スタートした昭和50年から。当時のシネアストたちにも定評があった個性的な番組編成は、今も受け継がれている都内最古の名画座だ。

 それだけに目が肥えた常連客が来場するため、生半可なプログラムを組むと、この組み合わせはどういう意味か?と指摘を受けるのでスタッフも気を抜けないという。そんな気苦労の反面、作品選びの振り幅の広さでは、シネコンや封切り館には無い楽しみがあるのも事実だ。映画創世期から現在まで…その豊富な作品群の中から新作と旧作を組み合わせたり、最近ではフィルム時代とデジタル以降の作品を組み合わせたり。これは!と思った企画が浮かぶと、常に全力で上映可能な作品を探し出し、スタッフ総出で観客を出迎えてくれる。趣向を凝らした編成とお客様を楽しませる空間つくりこそ、名画座の醍醐味と言えるだろう。

 毎回、監督や出演者を招いてのトークショーは、さながら小さな映画祭といえるほどの盛り上がりを見せており、「目黒シネマ」の名物だ。キッカケとなったのは、『サヨナラCOLOR』を上映した時のこと。突然、事務所に竹中直人監督からトークイベントをやらせて欲しいと直々のオファーの電話が入り(これぞ真の映画人!)、初めての出来事で慌てるスタッフを尻目に、竹中監督はトークに加え、主題歌をアカペラで熱唱して素晴らしいイベントとなった。他にも、「自作と観る監督チョイス」と銘打って監督本人に、組み合わせて欲しい併映作品をリクエストしてもらうユニークな企画上映がある。中には権利が切れていたりフィルムが行方不明の作品もあるが、支配人を中心に各所に連絡を取り、上映にこぎつけるスタッフの労力には頭が下がる。

 また、スタッフが全員で知恵を出し合い、毎回趣向を凝らした演出も楽しみのひとつ。例えば大根仁監督の『バクマン。』では壁一面をジャンプの漫画で埋め尽くしたり、売店では作品に合わせたお菓子を近所のお菓子屋さんに作ってもらい販売したり…と、あの手この手で来場者を楽しませてくれる。極めつけは、週末限定でスタッフが作品のイメージに合わせたコスプレで観客を出迎えてくれること。あれよあれよと驚いていると、チリ~ン…チリーン…耳に心地よい音がロビーに響く。ここでは上映開始をブザーではなくベルで知らせてくれるのだ。さぁ、映画が始まる。


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2017年8月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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