ロッキー史上最強の敵ドラゴ。ドラマの厚みが出た再編集版
2022年10月12日
ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ
©︎2021 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
【出演】ドルフ・ラングレン、タリア・シャイア、カール・ウェザース、ブリジット・ニールセン、バート・ヤング、ジェームズ・ブラウン、トニー・バートン、マイケル・パタキ、ロバート・ドーンニック、ストゥ・ネイハン
【監督・脚本・主演】シルべスター・スタローン
ファイトシーンはシリーズでも出色の出来
本作のオリジナル版である『ロッキー4 炎の友情』(1985)は、全米では「ロッキー」シリーズ最大のヒット作(日本でも1986年洋画配給収入第2位)である。
私は第1作の『ロッキー』(1976)が生涯のベストテンに入るくらい大好きであるが、「ロッキー4」がレーガン政権下での能天気なアメリカ万歳映画で、1985年ゴールデンラズベリー賞の最低監督賞・最低主演男優賞を受賞(ちなみに最低作品賞は『ランボー 怒りの脱出』)するなど酷評の嵐だったため積極的に見逃した。その後DVDで鑑賞したが、ドラゴがロッキー史上最強の敵である事以外、反ソが全面に出たいびつで薄っぺらい駄作であった。
コロナ禍によるロックダウンの中、評価の低かった第4作をスタローンが全面的に再編集したのが『ロッキーVSドラゴ ROCKY IV』である。
それにしても42分の未公開映像を付け加えたにも関わらず、上映時間は3分増えただけ。当時それだけの別バージョンを撮影していたわけだから、ハリウッドの金のかけ方には驚くばかりだ。
その結果は、アメリカの批評サイトRotten Tomatoesのメーターが、37%から80%への爆上がりで大成功だ。
私の感想としては、「ロッキー」を政治利用している気持ち悪さは変わらないが、オリジナル版では無表情で殺人兵器のようだった冷酷なドラゴの内に秘めた熱き人間性や、アポロの元王者としてのプライドや苦悩が再編集版ではよく出ており、ドラマとしての厚みが出てきた。
アポロがジェームズ・ブラウンらと共に歌い踊る意味不明なシーンは残されているものの、お手伝いロボットの登場シーンはばっさりと切られており賢明な判断である。
ファイトシーンは素晴らしく、ロッキーVSドラゴの壮絶な闘いは色褪せることなくシリーズでも出色の出来である。ドラゴがやはり最強の敵だ。再編集して良くなったことは間違いない。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。