岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ビリーバーズ B! 信じる者は救われるを実践する男女の物語 2022年10月04日 ビリーバーズ ©山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会 【出演】磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平、毎熊克哉、山本直樹 【監督・脚本】城定秀夫 過程が描かれず荒唐無稽が強調されてしまう 日本人はよく無宗教だと言われる。古くは大陸から来た仏教を深く取り入れたが、ヨーロッパ渡来のキリスト教には弾圧を加えたうえに、諸国に比較しても、その布教は広まることなく、その後も信者数は低迷を続けている。 とは言え、正月には神社仏閣へ初詣に出かけ神仏に手を合わせる。亡くなった人を送る時も、盆や彼岸に先祖を迎える時も、厳かな儀式を大切にする。そんなこともあって、日本人は "儀式宗教" だと断定されたりする。 しかし、日本人は元来、モノに神や精霊が宿っていると信じた。奇岩や巨石や巨木に神聖なものを感じたり、あるいは海山そのもの敬ってきた。神社の御神体や寺の御本尊があるはるか前から、日本人はアニミズム的な宗教性を持った民族だったとも言える。 『ビリーバーズ』は、2人の男と1人の女が、孤島で共同生活をしているところから始まる。3人は "ニコニコ人生センター" という宗教的な団体に所属している。互いを議長(宇野祥平)、副議長(磯村有斗)、オペレーター(北村優衣)と呼び、個人名は排されている。瞑想、夢の報告などの決まった日課とメールで送られて来る "孤島プログラム" という命令に沿った日常を過ごしている。時々、密かに届けられる食料では空腹は満たされることはなく、海や山での食物確保に動くことになる。 3人は、そんな追い詰められたような生活を、世俗の穢れを浄化して "安住の地" への出発のための修行だと信じていた。 原作は山本直樹の同名のコミックで、連載が始まったのは1999年。所謂、新興宗教に関係した事件、問題は、忘れた頃にやって来る。いまもデリケートな時期ににあるのですが…。 仏教は本来、自力という考え方があって、これは映画の設定の中にある "修行" のことを意味する。 "願" を成すために "行" を重ねる。しかし、これは至難であった為、"他力" という教えが広まる。 禁欲のタガが外れた本能と欲望の噴出。怖い話だが、終盤の展開は個人的には好みではない。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (11)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年12月04日 / おしょりん メガネ作りを地域産業にした挑戦と情熱の物語 2023年12月04日 / おしょりん 増永兄弟の艱難辛苦のサクセスストーリー 2023年11月29日 / 私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰? 権力と闘う信念の女性の生き様で描く政治映画 more 2019年06月05日 / シネ・ウインド(新潟県) 自分たちの観たい映画を自分たちの映画館で… 2018年06月20日 / CINEMA e-ra(静岡県) 映画を文化として守りたい…という民意に支えられて 2019年01月30日 / 御成座(秋田県) 街の人たちの勘違いから復活した秋田の映画館 more
過程が描かれず荒唐無稽が強調されてしまう
日本人はよく無宗教だと言われる。古くは大陸から来た仏教を深く取り入れたが、ヨーロッパ渡来のキリスト教には弾圧を加えたうえに、諸国に比較しても、その布教は広まることなく、その後も信者数は低迷を続けている。
とは言え、正月には神社仏閣へ初詣に出かけ神仏に手を合わせる。亡くなった人を送る時も、盆や彼岸に先祖を迎える時も、厳かな儀式を大切にする。そんなこともあって、日本人は "儀式宗教" だと断定されたりする。
しかし、日本人は元来、モノに神や精霊が宿っていると信じた。奇岩や巨石や巨木に神聖なものを感じたり、あるいは海山そのもの敬ってきた。神社の御神体や寺の御本尊があるはるか前から、日本人はアニミズム的な宗教性を持った民族だったとも言える。
『ビリーバーズ』は、2人の男と1人の女が、孤島で共同生活をしているところから始まる。3人は "ニコニコ人生センター" という宗教的な団体に所属している。互いを議長(宇野祥平)、副議長(磯村有斗)、オペレーター(北村優衣)と呼び、個人名は排されている。瞑想、夢の報告などの決まった日課とメールで送られて来る "孤島プログラム" という命令に沿った日常を過ごしている。時々、密かに届けられる食料では空腹は満たされることはなく、海や山での食物確保に動くことになる。
3人は、そんな追い詰められたような生活を、世俗の穢れを浄化して "安住の地" への出発のための修行だと信じていた。
原作は山本直樹の同名のコミックで、連載が始まったのは1999年。所謂、新興宗教に関係した事件、問題は、忘れた頃にやって来る。いまもデリケートな時期ににあるのですが…。
仏教は本来、自力という考え方があって、これは映画の設定の中にある "修行" のことを意味する。
"願" を成すために "行" を重ねる。しかし、これは至難であった為、"他力" という教えが広まる。
禁欲のタガが外れた本能と欲望の噴出。怖い話だが、終盤の展開は個人的には好みではない。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。