岐阜新聞 映画部

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実話ベースの映画化 刑務所が感動の舞台に変わる

2022年09月27日

アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台

©︎2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms

【出演】カド・メラッド、ワビレ・ナビエ、ソフィアン・カメス、ダヴィッド・アヤラ、ピエール・ロッタン、ラミネ・シソコ、アレクサンドル・メドベージェフ、
【監督・脚色】エマニュエル・クールコル

囚人との関係から生まれる不条理な情熱

刑務所、あるいはそこに収監されている囚人を描いた映画は多くある。また、そこに部外者、塀の反対側にいる人物がやって来て、通常はあり得ない囚人たちと交流を持つこと、持たされることがあったりすれば、それは意外な物語となる。

『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』は、題名にあるように、囚人たちが舞台=演劇に挑むお話である。

演劇のワークショップが行われる。ワークショップと言えば、体験型の講座=セミナーのことだが、参加者が主体となるのが通常の形。

その講師として派遣されるのはエチエンヌ(カド・メラッド)。役者としての人生は決して順風満帆ではなく、崖っぷちに立たされているとも言える。囚人たちからも、売れていない役者の現状を言い当てられ、からかわれる始末。前途多難な刑務所生活=囚人ではない、が始まる。そして選んだ演目は「ゴドーを待ちながら」だった。

アイルランド出身の劇作家サミュエル・ベケットが1952年に発表したのが「ゴドーを待ちながら」。2幕からなる戯曲は、ベケットの第2言語であるフランス語で書かれた。日本でも1956年に翻訳され、60年に文学座のアトリエ公演として初演されている。

舞台となるのは、木が一本立つ田舎の一本道。その木の元、ウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が、"ゴドー" を待っているという設定。ところが、2人はゴドーには会ったこともない。人待ちなどうわの空で、たわいもない会話やゲームに興じて時間をつぶしている。そこに通行人がやって来て…という話。

ベケットは1969年にノーベル文学賞を受賞しているが、彼を紹介する時、不条理演劇の代表的な作家の1人と表現することが多い。

不条理は不合理、常識に反していることで、倫理観から逸脱した不毛性を描こうとする演劇形式。

ある意味、囚人の演目としてはピッタリの題材なのだが、難解という高い壁が立ちはだかる。

この映画、実話をもとにしている。そのことが不条理、感動させられてしまうのは不合理。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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