岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

実話をもとにした大脱出のアクション人間ドラマ

2022年09月26日

モガディシュ 脱出までの14日間

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【出演】キム・ユンソク、ホ・ジュノ、チョ・インソン、ク・ギョファン、キム・ソジン、チョン・マンシク
【監督】リュ・スンワン

南か北か 政治か命か 真実かやり過ぎか

韓国映画には民主化運動に材をとったものが多くある。例えば、2018年に公開された『タクシー運転手 約束は海を越えて』(チャン・フン監督/17年)は、1980年5月に起こった民主化デモに対する軍事介入で発生した騒乱事件を描いている。光州事件を描いたものは、官民両サイドからの劇映画、他にもドキュメンタリーがある。

同じく2018年に公開された『1987年、ある闘いの真実』(チャン・ジュナン監督/17年)は、この時の民主化宣言に至る経緯を描いた作品である。

韓国では、1987年6月29日、ノ・テウ次期大統領候補が、民主化を約束する演説をする。これは長く続く軍事傀儡政権を終了させるという内容だが、翌年に控えたソウルオリンピックを無事に開催するという、絶対的な使命のもとに発表された政治宣言という性格が強い。

翌、88年、大統領の直接選挙は実現し、ノ・テウは第13代大統領に就任する。皮肉にもノ大統領は軍人出身者だった。

1990年、オリンピックを成功させた韓国政府は、国連加盟という大きな目標を達成するため、アフリカ諸国へのロビー活動を活発化させていた。そこには韓国よりも早くに、外交を始めていた北の存在を意識する事情があった。

ソマリアは東アフリカに位置し、エチオピアとケニアと国境を接している。北部をイギリス、南部をイタリアに植民地化されていたが、1960年にソマリア共和国として独立する。首都モガディシュはインド洋に接した港町である。

韓国大使ハンは現地政府に取り入ろうと画策するが、そこには北の妨害、情報操作があった。南北の主導権争いはエスカレートしていく。

そんな時、ソマリア政府に不満を持つ反乱軍による内戦が激化し、治外法権の大使館にも危機が迫ることになる。

『モガディシュ 脱出までの14日間』は、戦場の混乱からの命からがらの脱出行を描いている。相容れない南北の協力、詰め込み過ぎの情報量には面食らうし、やり過ぎ無視のアクションに呆然とするが、人間ドラマも手堅いところが韓国映画の底力だ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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