岐阜新聞 映画部

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韓国と北朝鮮が協力しあう、面白さ太鼓判のエンタメ大作

2022年09月26日

モガディシュ 脱出までの14日間

© 2021 LOTTE ENTERTAINMENT & DEXTER STUDIOS & FILMMAKERS R&K All Rights Reserved.

【出演】キム・ユンソク、ホ・ジュノ、チョ・インソン、ク・ギョファン、キム・ソジン、チョン・マンシク
【監督】リュ・スンワン

手に汗握るド派手なカーアクションには大興奮!

2021年8月、タリバンに制圧されたアフガニスタンから多くの国の大使館員らが脱出した。その中で日本と韓国の退避作戦は明暗が分かれた。8月28日時点で日本側で退避できたのは日本人1人とアフガニスタン人14人のみ。一方で韓国はその日までに390人を2便に分けて韓国に移送している。

北朝鮮との関係でいつも緊張状態にある韓国政府と、平和な時は威勢がいいがコロナ対応など緊急時にはからっきし弱い日本政府との対応の違いが、白日の下にさらされたと個人的には思っている。

本作は、アフリカ最東部に位置するソマリアで国連加盟のためのロビー活動を行っていた韓国と北朝鮮の大使館員らが、反政府勢力が制圧した首都モガディシュから決死の脱出をする緊迫した様子を描いた娯楽大作だ。

普段仲の悪い敵と味方が協力してことに当たることを「呉越同舟」という。韓国と北朝鮮は誰もが知る敵対関係なので、普段のわだかまりを乗り越え協力して危機を突破するというシチュエーションが存在し、映画や小説の題材となる。

そこへきて社会派エンタメの土壌がしっかりある韓国映画界が作るとなれば面白くならないはずがない。出し抜き合いのロビー活動や疑心案義の友好関係、そして手に汗握るド派手なカーアクション。

中でもはじめて一緒に食事をするシーンの「もしや毒が?」と疑う言うに言えない微妙な空気感と、はたと気が付いて相手の皿のものを食べてみせる韓国大使館員の場面は、同じ食文化で同一民族の悲哀を端的に表していて秀逸だ。

この素晴らしき美談が今まで内密にされてきたのは、北朝鮮側が韓国と内通していると判断されかねないためだろう。一緒に脱出した飛行機の中ではお互いをリスペクトしているが、一歩空港へ降り立つと一切目を合わせない。

この奇跡の脱出劇があった1991年、韓国と北朝鮮は国連加盟を同時に承認される。

面白さ太鼓判のエンタメ大作である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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