岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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幸せな里親と息子に訪れる別離のタイムリミット

2022年09月05日

1640日の家族

©︎ 2021 Deuxième Ligne Films - Petit Film All rights reserved.

【出演】メラニー・ティエリー、リエ・サレム、フェリックス・モアティ、ガブリエル・パヴィ
【監督・脚本】ファビアン・ゴルジュアール

ずるいほどの子役たちの名演にやられてしまう

日本の養子制度は、古くは "家名の存続" とか、"家業の維持" という目的で行われていた。そこには持参金とかいった金銭的なことが絡んでいたため、人身売買のような面もあったが、庶民の間では、証文のやり取りだけという、比較的容易なもので、制度という公の縛りは緩いものだった。

明治以降も、家制度が社会秩序の中心に置かれため、家制度維持のための養子縁組は行われた。ここで言う、養子縁組は養親の家に入り、養親の摘出子という身分を取得することで、養子は法定血族だった。

この養子縁組と里親制度は、保護を必要としている子どもに、家庭での養育を提供する制度ということでは共通しているが、内容には大きな違いがある。

アンナ(メラニー・ティエリー)と夫のドリス(リエ・サレム)は、生後18ヶ月の男の子シモンを里子として迎え入れた。夫婦には実子である男の子が2人いたが、シモンは兄弟のように伸びやかに成長し、4年半の月日が流れる。

そんなある日、これまでも定期的な交流を続けていたシモンの実父エディ(フェリックス・モアティ)が、息子を手元で育てることを申し出る。

児童社会支援局はルールに基づき、シモンの家庭復帰を進めるが、アンナはエディに不信感を抱き、幼いシモンの心にも戸惑いの感情が生まれる。 フランスと日本の里親制度には差異がある。里親委託率でいえば、フランスは日本の2倍だが、それは諸外国と比較すれば特別高いわけではなく、日本が極めて低いことがわかる。処遇や支援の比較では、フランスの里親は研修を課した国家資格で62歳の定年制も設けられた職業である。支援では日本では自治体格差があり、単純比較はできないが、フランスがはるかに手厚い。

ファビアン・ゴルジュアール監督の実体験による物語は、家族の愛と絆を繊細に描き出す。6歳の子どもに選択を迫る残酷さを和らげてくれるのは、シモンを演じたガブリエル・パビや兄弟の子役たちの、自然な素晴らしい演技による。

そして里親制度について、考えるきっかけを与えてくれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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