岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

「ヒバクシャ」は訴える、いま観るべきタイムリーな映画

2022年08月09日

長崎の郵便配達

©️The Postman from Nagasaki Film Partners ©︎坂本肖美

【出演】イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド
【監督・撮影】川瀬美香

父をリスペクトするイザベルさん、彼女は何を思うのか?

私が独身時代の1985年8月、生涯初めての飛行機に乗って長崎に行った。前年に取引先の招待で広島へ行った際原爆ドームや平和記念資料館に衝撃を受け、個人で長崎へも行ってみたいと思い立ったのだ。

当時はまだ統一開催だった原水禁世界大会や平和祈念式典もあって、団体のゼッケンをまとった参加者や様々なのぼりが乱立し、夏の暑さもあいまって非日常感一杯だった。長崎市電に乗って爆心地や浦上天主堂にも行き、原爆の悲惨さと平和の尊さを噛みしめてきた。

そのあと家族旅行と仕事で長崎へ行ったが、その際は観光と地図調査が中心だった。

本作の主役である谷口稜曄(スミテル)さんは晩年まで核廃絶運動に尽力された方で、被爆当事者として2006年から長崎被災協会長、2010年からは日本被団協代表委員を務められた。

映画の中でも触れられているが、普段は口数の少ない穏やかな人柄だが、イザ被爆体験や核兵器廃絶の話になると語気鋭く世界に向けて発信していった。

世界で核爆弾が実際に使われたのは、ヒロシマ・ナガサキに落された2発の原爆だけであるが、その後の核実験により「ヒバクシャ」は世界中に増えてしまった。

核保有国のロシアがウクライナ侵攻という直接的な戦争を始めてしまい、三度目の核兵器使用が心配されているがとんでもないことである。

もしかしたら原爆投下の加害者になっていたかもしれない英国空軍大佐だったピーター・タウンゼント氏が、何故原爆被災者に興味をもって取材し出版までしたのか?娘のイザベルさんは父の足跡をたどる。

彼女は同じ場所で何を感じ、何を話し、どう行動するのか?じっと見つめる川瀬美香監督は、決して誘導したり答えありきの映画になどしない。

イザベルさんが長崎のいろいろな人と出会う中で父をリスペクトすると同時に、自身も平和についての確固たる信念を持っていく。

いま観るべきタイムリーな映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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