岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ツユクサ B! ひっそりと咲くツユクサ色の大人の青春映画 2022年06月28日 ツユクサ ©2022「ツユクサ」製作委員会 【出演】小林聡美、平岩紙、斎藤汰鷹、江口のりこ、桃月庵白酒、水間ロン、鈴木聖奈、瀧川鯉昇、渋川清彦、泉谷しげる、ベンガル、松重豊 【監督】平山秀幸 背負っている重石(過去)を忘れなくても幸せは日常(身近)にある 伊豆の西部に位置するとある港町が舞台。49歳、ひとり暮らしの五十嵐芙美(小林聡美)は、町のタオル工場に勤めている。気のおけない同僚たちと穏やかな日常を生きていた。とは言え、"断酒の会" に顔を出し、アルコール飲料を海に注ぐ、戒めの儀式をしたりするのだから、ちょっと訳ありの過去がちらついたりする。 ある夜、車で帰宅途中に宇宙(そら)からの襲来物=隕石と接触遭遇する。1億分の1の確率に出会っても、何ら動揺することはない芙美。そんな彼女を慕っているのが、職場仲間の直子(平岩紙)のひとり息子航平(斎藤汰鷹)だった。実の母親には言いにくいことでも、芙美には打ち明けられる。年の差なんて関係ない、熱い友情で繋がっているふたりがいた。 一方、町の道路工事の現場で、交通整理の仕事をする篠田吾郎(松重豊)にも、見た目の穏やかさに隠された訳がありそう。道端の草を摘み、草笛を吹いていると、その側を芙美が通りかかる。近所でよくすれ違っていたふたりは、日常にいる顔見知りだった。 監督の平山秀幸は1990年の『マリアの胃袋』でデビューして以来、コンスタントに新作を発表しているベテラン監督で、社会派からホラーまで、幅広い題材をこなす職人肌で活躍を続けている。 『ツユクサ』では、2007年に公開された『やじきた道中 てれすこ』でコンビを組んだ脚本家・安部照雄のオリジナル脚本の映像化で、10年以上あたためて実現した念願の企画だという。 主役の芙美を演じる小林聡美は、我々の年代には、その主演デビュー作である『転校生』(大林宣彦・監督/1982年)以来のつき合いであり、いつも気にかけている特別な存在の女優のひとりでもある。テレビ出演なども多く、広く活躍しているが、映画では『かもめ食堂』(2006年)『めがね』(2007年)の荻上直子監督作品での存在感が印象深い。本作でもその持ち味で、芙美像を鮮やかに演じている。 穏やか過ぎて、止まってしまったようでも、どっこいちゃんと生きている。ゆっくりでも前向きに、踏み出す勇気も自分次第。このメッセージは優しく心に届く。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (14)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2021年09月08日 / 【思い出の映画館】浅草東宝(東京都) 大晦日は浅草寺に詣でてオールナイトで年を越す 2020年02月05日 / 福知山シネマ(京都府) 城下町にある映画館は幅広い年代から支持されている 2019年01月30日 / 御成座(秋田県) 街の人たちの勘違いから復活した秋田の映画館 more
背負っている重石(過去)を忘れなくても幸せは日常(身近)にある
伊豆の西部に位置するとある港町が舞台。49歳、ひとり暮らしの五十嵐芙美(小林聡美)は、町のタオル工場に勤めている。気のおけない同僚たちと穏やかな日常を生きていた。とは言え、"断酒の会" に顔を出し、アルコール飲料を海に注ぐ、戒めの儀式をしたりするのだから、ちょっと訳ありの過去がちらついたりする。
ある夜、車で帰宅途中に宇宙(そら)からの襲来物=隕石と接触遭遇する。1億分の1の確率に出会っても、何ら動揺することはない芙美。そんな彼女を慕っているのが、職場仲間の直子(平岩紙)のひとり息子航平(斎藤汰鷹)だった。実の母親には言いにくいことでも、芙美には打ち明けられる。年の差なんて関係ない、熱い友情で繋がっているふたりがいた。
一方、町の道路工事の現場で、交通整理の仕事をする篠田吾郎(松重豊)にも、見た目の穏やかさに隠された訳がありそう。道端の草を摘み、草笛を吹いていると、その側を芙美が通りかかる。近所でよくすれ違っていたふたりは、日常にいる顔見知りだった。
監督の平山秀幸は1990年の『マリアの胃袋』でデビューして以来、コンスタントに新作を発表しているベテラン監督で、社会派からホラーまで、幅広い題材をこなす職人肌で活躍を続けている。
『ツユクサ』では、2007年に公開された『やじきた道中 てれすこ』でコンビを組んだ脚本家・安部照雄のオリジナル脚本の映像化で、10年以上あたためて実現した念願の企画だという。
主役の芙美を演じる小林聡美は、我々の年代には、その主演デビュー作である『転校生』(大林宣彦・監督/1982年)以来のつき合いであり、いつも気にかけている特別な存在の女優のひとりでもある。テレビ出演なども多く、広く活躍しているが、映画では『かもめ食堂』(2006年)『めがね』(2007年)の荻上直子監督作品での存在感が印象深い。本作でもその持ち味で、芙美像を鮮やかに演じている。
穏やか過ぎて、止まってしまったようでも、どっこいちゃんと生きている。ゆっくりでも前向きに、踏み出す勇気も自分次第。このメッセージは優しく心に届く。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。