岐阜新聞 映画部

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斬新で個性的で躍動的で若々しい。カラックスの新たなる傑作

2022年06月07日

アネット

© 2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / EUROSPACE / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Télévisions belge) / Piano

【出演】アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバーグ
【監督】レオス・カラックス

未だに若々しいカラックス。超コッコいい。

私の1992年外国映画ベストワンは『ポンヌフの恋人』である。

フランス映画は、戦前から戦後にかけてのルネ・クレールやジャン・ルノワールなど自然主義的な映像表現を駆使した文芸的味わいのある芸術映画や、1950年代末から始まったトリュフォーやゴダールなどの低予算・ロケ撮影で今を生きる若者たちの生態をリアルに描いた「ヌーヴェル・ヴァーグ」と呼ばれる映画で世界を牽引してきた。

そこへ新たに登場したのが、『ディーバ』のジャン=ジャック・ベネックスや『グラン・ブルー』のリュック・ベッソンとともに「恐るべき子供たち」と呼ばれたレオス・カラックスである。

私が34歳の時、当時今池にあった今池国際劇場で、映画好きの部下と一緒に観た衝撃は今でも忘れられない。正直、筋はあまり覚えてないが、狂ったように踊るダンスシーンとセーヌ川に打ちあがる花火は強烈だった。

「この監督は追いかけよう」と決めてから30年。それからの新作は『ポーラX』(1999)とオムニバス『TOKYO!』の中から「メルド」(2008)と『ホーリー・モーターズ』(2012)の3本のみ。で9年ぶりの新作が『アネット』だ。

私より2個下のカラックスであるが、映画の冒頭でスパークスに合図を送る彼は超カッコいい。30年前に映画に惚れた監督が未だに若々しいのはすこぶる嬉しいし、私もこんな極めた親父になりたい。

で映画の方も斬新で個性的で躍動的で若々しい。初のロックオペラであるが、『ポンヌフの恋人』もミュージカルにしたかったという話を聞くと、ようやく実現したということだ。

売れっ子スターのアダム・ドライバーが、自身初のプロデュースまでやってカラックス映画に出演したのだ。ライブでの歌唱を撮影したという圧巻のパフォーマンスにはカラックスへの熱烈な愛を感じる。

とにもかくにも私はこの映画の密度に圧倒された。カラックスの新たなる傑作。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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