岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

多くの人に愛される映画ゆえの作品賞受賞

2022年05月09日

コーダ あいのうた

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS 

【出演】 エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン
【監督・脚本】シアン・ヘダー

歌声に魅了され温かな家族ドラマに癒される

アカデミー賞作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」は、青春映画であり、家族映画であり、音楽映画でもある。

CODA(コーダ)とは、耳の聞こえない両親に育てられた子どもを指す。この映画の主人公ルビーそのものである。

家族というものは、時として自分の人生の足かせとなる厄介なものであるが、同時にかけがえのない大切なものでもある。ルビーは、家族で唯一の健聴者であるため、いつも通訳する役割を担わされているので、音楽の道へ進む夢を断念せざる得ない状況に追い込まれる。果たして、ルビーは夢を叶えられるのか。

主人公以外聴覚障害者の4人家族を描いているが、ユーモラスな場面も多く、決して重い映画ではない。娘の歌声が聞こえない家族の立場を、疑似体験させる演出も素晴らしい。そして、父が、母が、兄が、ルビーにかける言葉は胸を熱くさせる。心に響く数々の素敵なシーンの中でも、ルビーが「青春の光と影」を歌うクライマックスは感動的。

ルビーを演じるエミリア・ジョーンズの澄んだ歌声に魅了される。彼女は、家族と夢の間で揺れ動く心情も的確に演じている。父親役のトロイ・コッツァー(アカデミー賞助演男優賞受賞)、母親役のマーリー・マトリン(「愛は静けさの中に」でアカデミー賞主演女優賞受賞)、兄役のダニエル・デュラントは、3人とも聴覚障害者の俳優であり、彼らが見事なアンサンブル演技で作品を支えている。

「コーダ あいにうた」の作品賞受賞は、映画のクオリティの高さもさることながら、この映画が最も多くの人に愛される作品である証だと思う。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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