岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

スリリングな騙し合いを漫才のような掛け合いとゆるい空気感で包む

2018年02月27日

嘘八百

©2018「嘘八百」製作委員会

【出演】中井貴一、佐々木蔵之介、友近、森川葵、前野朋哉、堀内敬子、坂田利夫、木下ほうか、塚地武雅、桂雀々、寺田農、芦屋小雁、近藤正臣
【監督】武正晴

居酒屋「土竜」に集う怪しげなプロフェッショナルたちにも注目

 うだつの上がらない古物商(中井貴一)とどこか冴えない陶芸家(佐々木蔵之介)が、「騙された方が悪い」という世界で、真剣勝負のばかしあいに挑む中年応援ムービー。中井貴一以外の配役に関西人を持ってきたおかげもあって、漫才のような掛け合いとゆるい空気感が、スリリングな騙し合いをホンワカムードに包み込んでいて厭らしさがない。
 買い付け、値付け、オークション、真贋鑑定など、古美術に関するノウハウやうんちくも楽しいが、古物商が陶芸家に「贋物より凄い本物を作ってやれ」といって、何てことのない土が誰も見たことのない千利休の「緑楽茶碗」に化けていく過程が面白い。昔人間国宝のK氏が、昭和初期に作った自作を「永仁の壺」と言って重要文化財に指定され、その後取り消しになった事件があったが、モノの価値というのは、美的価値なのか希少価値なのか、「価値の本質」という側面からでも、娯楽映画以上のものが見えてくる。
 さらに贋作づくりの拠点となる居酒屋「土竜」に集う面々の、怪しげなプロフェッショナルぶりが笑える。サインや筆跡盗作専門のマスターを筆頭に、紙質にこだわるよっちゃん、桐箱担当の材木屋など「何の変哲もない普通のおっさんが、実は凄腕だった」と、我々凡人が夢見る姿を体現している。ついでに言えば、利休にやたら詳しい博物館の学芸員や、模型作りに熱中する青年もプロフェッショナルである。
 元々堺ありきの映画ではあるが、観光地巡り映画にはなっておらず、そのシーンの必然性がある箇所でロケしている。場面の浮つき感や違和感がないところは、武監督の演出の腕であろう。
 古美術の真贋をめぐるプロ通しの騙し合いで、加害者と被害者が何度も入れ替わりながらゴールにむかっていく。「開運!なんでも鑑定団」で、出品者が本物と思って出した古物が二束三文のガラクタだった時の「泣き笑い」の部分を映画にしたような、面白おかしい作品である。

『嘘八百』は全国で公開中、岐阜CINEXでは3/22(金)まで公開中。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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