岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

関西弁の快調コメディ!漫才ばりの演技合戦

2018年02月27日

嘘八百

©2018「嘘八百」製作委員会

【出演】中井貴一、佐々木蔵之介、友近、森川葵、前野朋哉、堀内敬子、坂田利夫、木下ほうか、塚地武雅、桂雀々、寺田農、芦屋小雁、近藤正臣
【監督】武正晴

利休の茶碗がマニアの心を揺さぶる

 関西弁で本日の運勢がラジオから流れる、横浜ナンバーのワンボックスバン。乱雑な車内は美術書や得体の知れない骨董の類であふれている。かかってきた携帯電話の会話から、相手がワケありの妻であり、娘を押しつけられた旦那であることが分かる。助手席にはその娘がヘッドフォン装着でおひとりさまを実践中。親子の距離感が暗示される。運勢は”西に吉報あり”…骨董店「獺(カワウソ)」の車は、蔵を構えた豪邸の玄関先に停まる。そこへドンピシャのタイミングで帰ってくる家の主…らしき男。この冒頭は快調!
 大阪・堺を舞台にした、騙し騙されのコメディ。獺の主人・小池を演じるのは中井貴一。豪邸の主人(?)野田は佐々木蔵之介。ふたりの漫才ばりのかけあい芝居はテンポ良く、ボケ突っ込みの自在さも達者ぶりを見せる。中盤、意気投合するふたりの関係は、中年男の哀愁を漂わせ、ちょっと泣かせる人情ものの味つけもされている。
 話は利休の茶碗を中心に展開するが、入れ替わりで登場する脇役陣も大阪ノリの手堅い配置で安定感があり、ツボを押さえて笑える。利休をからめた骨董話もいかにもマニアごころをくすぐる蘊蓄(うんちく)で面白い。
 クライマックスはこの手の詐欺話にはよくある大芝居になだれ込む構成だが、手堅い脇役陣を引っ張りすぎたきらいがある。役者が重複しているため、淡白なオチに肩透かしを喰う。確かに、その後に二段三段オチが用意はされているのだが…。
 どっぷり関西弁に支配された演技陣にあっても、存在感を維持する中井貴一は抜群の安定感。相方の佐々木蔵之介は関西(京都)出身とあって、見事なハマりっぷり。最近の演技の幅広さは秀美。
 そう言えば、人気テレビ番組のなんちゃら鑑定もので、天目茶碗の真贋が話題になりましたが、あのオチはどこへいったのでしたっけ?

『嘘八百』は全国で公開中、岐阜CINEXでは3/23(金)まで公開中。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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