岐阜新聞 映画部映画館で見つけた作品ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~ B! 老々介護の両親を見つめた優しいドキュメンタリー 2022年04月19日 ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~ ©2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会 【監督・撮影・語り】信友直子 いつものテーブル、夫婦揃って珈琲で乾杯 信友直子監督は、1961年広島県呉市に生まれた。東京大学文学部を卒業後、食品メーカーの広告部に所属したが、有名な企業強迫事件に接したのをきっかけに、映像プロダクションへ転職したという、少し変わった経歴の持ち主。 2009年、自らの闘病記録ドキュメンタリー『おっぱいと東京タワー〜私の乳がん日記』を発表し、国内外で高い評価を受け、翌年、フリー作家となった。 2018年に劇場公開された『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、2016年9月にフジテレビ=関西テレビ系列で2週に渡り特集放映され話題となった番組版に追加取材撮影を加え、劇場版として公開した作品である。 呉市⇔東京と離れて暮らす両親の老々介護の生活を見つめた作品で、当初は小劇場での単館公開だったが、大きな反響を得て、劇場公開は全国に拡がった。 本作『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~』は、その続編ではあるが、前作で描かれた両親にカメラを向けることになった経緯や、家事経験は皆無だった父親の奮闘の様子などが、丁寧に振り返る形で構成されている。 2018年、リンゴの皮剥きすら未体験だった父は、家事全般を仕切れるまでになったが、近所の商店街への食料品買出しにも難義なほど、足腰は弱ってしまっている。そんな中、母の認知症は進行したうえ、脳梗塞を発症、入院生活が始まってしまう。 しかし、父はめげることはない。手押し車を使い、1時間かけて、入院する母のもとへ面会に行くことが日課となる。ベットに伏せた母を励まし、帰って来る日のために筋トレを始める98歳の父。 しかし、2020年春、新型コロナの感染拡大で、面会すらままならなくなってしまう。 認知症、老々介護は、高齢化社会の抱える宿命であり、避けては通れない。その実態は、映像に映し出されない汚れた一面も、重く抱えている。 カメラはあくまでも優しく両親に向けられる。そこには計算など皆無のユーモアが溢れる。そして、食するという営みの美しさが、生の逞しさを教えてくれる。そこから浮かび上がるのは、夫婦の、親子の、絆である。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2022年05月23日 / ベルイマン島にて 巨匠が愛した島で紡ぐひと夏の物語 2022年05月23日 / ベルイマン島にて ベルイマンを通じて創造の原点を再確認するひと夏の物語 2022年05月20日 / ハチとパルマの物語 モスクワにもあった忠犬の物語 more 2021年07月28日 / 【思い出の映画館】上野東宝劇場/上野宝塚劇場(東京都) 文人墨客が愛した上野の森にあった東宝直営館 2018年07月25日 / フォーラム仙台(宮城県) 映画館はみんなが笑顔を取り戻せる場所なのだ 2022年05月11日 / 豊岡劇場(兵庫県) 豊岡で暮らす人たちと作り上げる新しい街づくりの拠点。 more
いつものテーブル、夫婦揃って珈琲で乾杯
信友直子監督は、1961年広島県呉市に生まれた。東京大学文学部を卒業後、食品メーカーの広告部に所属したが、有名な企業強迫事件に接したのをきっかけに、映像プロダクションへ転職したという、少し変わった経歴の持ち主。
2009年、自らの闘病記録ドキュメンタリー『おっぱいと東京タワー〜私の乳がん日記』を発表し、国内外で高い評価を受け、翌年、フリー作家となった。
2018年に劇場公開された『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、2016年9月にフジテレビ=関西テレビ系列で2週に渡り特集放映され話題となった番組版に追加取材撮影を加え、劇場版として公開した作品である。
呉市⇔東京と離れて暮らす両親の老々介護の生活を見つめた作品で、当初は小劇場での単館公開だったが、大きな反響を得て、劇場公開は全国に拡がった。
本作『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~』は、その続編ではあるが、前作で描かれた両親にカメラを向けることになった経緯や、家事経験は皆無だった父親の奮闘の様子などが、丁寧に振り返る形で構成されている。
2018年、リンゴの皮剥きすら未体験だった父は、家事全般を仕切れるまでになったが、近所の商店街への食料品買出しにも難義なほど、足腰は弱ってしまっている。そんな中、母の認知症は進行したうえ、脳梗塞を発症、入院生活が始まってしまう。
しかし、父はめげることはない。手押し車を使い、1時間かけて、入院する母のもとへ面会に行くことが日課となる。ベットに伏せた母を励まし、帰って来る日のために筋トレを始める98歳の父。
しかし、2020年春、新型コロナの感染拡大で、面会すらままならなくなってしまう。
認知症、老々介護は、高齢化社会の抱える宿命であり、避けては通れない。その実態は、映像に映し出されない汚れた一面も、重く抱えている。
カメラはあくまでも優しく両親に向けられる。そこには計算など皆無のユーモアが溢れる。そして、食するという営みの美しさが、生の逞しさを教えてくれる。そこから浮かび上がるのは、夫婦の、親子の、絆である。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。