岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

先鋭の堤幸彦監督作品2本立

2022年03月30日

『Trinity』『truth 〜姦しき弔いの果て〜』

©2021 映画「truth 姦しき弔いの果て」パートナーズ

【出演】広山詞葉、福宮あやの、河野知美/佐藤二朗(忖度出演)
【監督・原案】堤幸彦

初のダンスアートフィルムと50作記念は初自主制作映画

『Trinity』

生島翔は1985年東京生まれ。父はフリーアナウンサーの生島ヒロシ。15歳でアメリカの芸術高校へ留学、ダンスを始めた。その後、ニューヨーク大学を卒業、アーティストビザを取得した。俳優としての勉強も重ね、2009年にはヨーロッパに渡る。同年、ドイツのカッセル州立劇場でソリストとして契約した。日本でも、原田眞人監督の『関ヶ原』に出演している。

『Trinity』は、生島翔のほか、皆川まゆむ、森井淳の3名のダンサーによるダンスアートフィルムで、監督、コンセプト、脚本は堤幸彦が担当している。

コミニュケーション、成長、崩壊といったキーワードをもとに幻想的な映像空間が表現されている。

ロケ地は伊豆大島で、火山溶岩の固まった剥き出しの地層や日本で唯一の砂漠が圧倒的な大自然として映し出される。

『truth~姦しき弔いの果て~』

突然の交通事故で亡くなってしまった恋人の部屋。喪服姿の栗林マロンがやって来る。ひとり涙にくれている。と、ベットに先客がいることを発見する。

たちまち、言い合いになるが、そこにもうひとりが参戦することになり、女3人の姦しい弔いの夜が始まる。

栗林マロンは中卒の元ヤンのシングルマザー。1番乗りはタマワン居住の女医の小林さな。しんがりが美貌の…実は若づくりの受付嬢の九条真弓。3人の喪服の女性は、同じ男に愛された、同じ歳の35歳、名前に "真" の文字があり、同じ合鍵を持ち、週の1日を共にし、同じ高級レストランで食事をし、同じ温泉宿へ旅行し、同じ構図の記念写真におさまる。そして、同文の最後の伝言=留守電を受け取っていた。

わずか、4日のリハーサルと2日間の撮影で完成させたというが、巧みなカット割りと、華麗なカメラワークで、ワンシチュエーション=ひとつの部屋で繰り広げられる女性3人の修羅場を、微笑ましさすら感じる人間愛に昇華させる演出の手腕はさすが。

そして、実存なき罪作りの男(佐藤二朗)の圧倒的な存在感が凄い。

監督50作目にこの題材を選ぶ堤幸彦は若い!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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