岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ディテール豊かな恋愛群像劇の快作

2022年03月24日

愛なのに

©2021「愛なのに」フィルムパートナーズ

【出演】瀬戸康史、さとうほなみ、河合優実、中島歩、向里祐香、丈太郎
【監督】城定秀夫

俳優陣の演技のアンサンブルに魅せられる

昨年の岐阜新聞映画部の日本映画ベストワン作品「街の上で」を撮った今泉力哉が提供した脚本を、一昨年のベストテン第五位の「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫が監督したR15の恋愛群像劇。

片想いを描かせたら右に出る者のない今泉力哉の脚本に、城定秀夫がエロティックな味わいを加味し、絶妙な匙加減で料理している。

瀬戸康史演じる古本屋店主が女子高生(河合優実)からプロポーズされるシチュエーションは、今泉監督の「mellow」の田中圭の花屋店主を思わせる。豊かなディテール、センス溢れるダイアローグ、個性的なキャラクターは今泉脚本の真骨頂。そして、濡れ場で垣間見せる、登場人物の性格・本音・弱点に、シンパシーを感じたり大いに笑わせられたり。R15ならではのシーンも、必要不可欠な意味ある場面になりえているのは城定監督の力量によるところが大きい。

さらに、俳優陣の好演も忘れてはならない。瀬戸康史の人の良さの中に秘めた芯の強さ、河合優実の臆することのない一途さ、中島歩の残念なイケメンぶり、さとうほなみと向里祐香の大胆な演技。彼らの演技のアンサンブルに魅せられる。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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