岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

母と娘が交錯するタイムスリップコメディ

2022年03月14日

こんにちは、私のお母さん

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【出演】ジア・リン、チャン・シャオフェイ、シェン・トン、チェン・フー、リウ・ジア
【監督】ジア・リン

若き日の母に会えたなら何ができるのか

その女の子は特別ではなかったが、生まれた時、体重は4900gあった。健康的にすくすくと育ち、周りを明るくする天真爛漫さが取り柄だったが、ちょっと不器用で何をやっても上手くいかず、結果的には母に迷惑をかけてばかりの子供時代を過ごした。

高校の卒業をむかえたジア・シャオリン(ジア・リン)は、演劇学校への進学を希望していたが、合格できたのは2部の学部で、母親に真実を言い出せないまま、同級生に合格証の偽造を依頼し、その場しのぎを画策するが、親類や母の友人が集うパーティー会場で、あえなく撃沈、嘘はバレてしまう。

その帰り道に親不孝を悔いていると、逆に母親から慰められる始末。たちまち仲直りして、将来の夢の話で盛り上がっていた矢先、母娘は交通事故に遭遇してしまう。

幸い軽症だったジアは、重篤な症状の母のベットの傍らで悲嘆に暮れる…いつの間にか眠ってしまっていたのだが、目覚めたそこは20年前の1981年の入口だった。

『こんにちは、私のお母さん』は、所謂、タイムスリップもので、ジアは時空を越えて、81年の若き母の職場に落下する。その時、下敷きになったのが、偶然にも(?)母・リ・ホワイイン(チャン・シャオフェイ)だった。

80年代初頭の中国の風俗は、テレビをキーワードに描かれる。購入では争いが起きるような状況だったり、まだ、カラーではなかったり、バレーボールのワールドカップの中継に熱中するシーンでは、決勝の対戦相手は日本で、中国のエースは懐かしい郎平だったりする。職場の雰囲気も含めて、よく再現されていると感じた。

監督、脚本はジアを演じているジア・リンで、亡き母との実話の要素を取り入れているという。初監督作品となる本作への意気込みを感じる熱演だが、撮影当時39歳の高校生役はちょっと、と注文をつけたくなる。そして、もうひとつ、コメディの質が個人的には肌に合わないのも辛かった。

ラストに用意されている謎解きのような振り返りは、タイムスリップものにつきものの、疑問とツッコミを少し和らげてくれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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